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マカロニ 階段型の尻尾

今年の一月まで我が家には猫がいた。そいつの話。

三十代の始め頃、知り合いの家の庭に現れた三兄妹のおそらく末っ子。
糞害などが酷く隣家の住人に保健所に連絡されるというので、それではウチで引き取ろうと捕獲機を仕掛けた。
歳上の二匹とその母猫はとても賢かったのか罠にはかからず、とても鈍臭いビビりのその黒猫だけがカゴに閉じ込められた。
その家の奥様から「一匹捕まえた!」と連絡をもらい駆けつけると、たまに見かけるカギ尻尾よりもいびつな階段型の尾を持つ子猫がカゴの中でシャー、シャー、シャーと威嚇をしていた。
カゴから引っ張り出し持参のネコハウスに入れようとする時、子猫は絶望の声を上げて爪を出した。
シャツを突き抜けアタシの柔肌に爪をキツく食い込ませた。

自転車の荷台に乗せて我が家に連れ帰りネコハウスから出す、素早くベッドの下に隠れ威嚇を続けるが半日放っておいたら彼女の方から徐々に歩み寄ってきた。お腹減ってたんだろうな。意外とチョロかったな。
他人、他猫に対するビビりは生涯治らなかったが、彼女はよく飯を食った。

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