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ソングライターとしてのTAKUの才能

横浜銀蝿のTAKU。ドライブするベースのテクニックは銀蝿のロックンロールに絶対に欠かせない。まるでリードギターのような耳に残るメロディライン、いやベースライン。あれだけ弾きながら歌うコーラスも翔くんの渋く男らしいボーカルのバックで欠かせない存在。あの風貌からはちょっとイメージの違うキュートな声の持ち主でもある。

そんなTAKUはもちろんベースやコーラスでも重要人物ではあるが、銀蝿一家に於いてかなり重要な位置に存在する作曲家でもある。

横浜銀蝿のデビュー当初から作曲はしていたはずだが、ある時期から作曲家として脚光を浴び、最終的には銀蝿一家の枠を飛び越え、中森明菜、三原順子、おニャン子クラブ等当時のトップスター達に曲を提供する存在となっていった。

このコラムでは作曲家としてのTAKUについて書いてみたい。彼が銀蝿一家のアーティストに作曲した曲を数えてみるとざっと約25曲ほどある。お馴染みの曲を何曲か挙げてみる。

横浜銀蝿の曲の中では10曲ほど作曲でクレジットされているが、その中でもっとも人気があったのは「Drive On シャカリキカリキのRock'n Roll is大好き!」であろう。

 Hey It's all right (Hey It's all right)
 Hey It's all right (Hey It's all right)
 Hey It's all right (Hey It's all right)
 Hey It's all right (Hey It's all right)
 Hey It's all right
 Drive on the Rock'n Roll

この曲はTAKU自身がボーカルをとり、翔くんとJohnnyがコーラスを担当している。後半の繰り返しではかなりフリースタイルなコーラスの掛け合いとなり、3人の歌がこれでもかと交差する。ライブでも定番の曲であり、この後半の3人の掛け合いのドライブ感は最高である。まさにDrive on the Rock'n Roll!

「ハイディーンブギ」「ブギウギLet'sブギー」この2曲は当時ロカビリーの先輩が河原にラジカセを持ち込んで大音量で曲を流しながら男女混交で踊っていたのを思い出す。これはRock'n Rollじゃなくてブギーか?詳しいジャンルの話は分からないがとにかくご機嫌なナンバーだ。一糸乱れぬ踊りを披露する先輩達に当時心底憧れたものだ。このご機嫌なナンバーこそTAKUの真骨頂ともいえる。

さらに「It's Only Rock'n Roll集会のテーマ(のれのれRock'n Roll)」は後日別のコラムで詳しく書こうと思っているが、一言で言うとコミックソングの最高峰のひとつだと思っている。銀蝿の中期以降、その他銀蝿一家の後輩達にとって、TAKUのコミックソングの作曲能力はとんでもない威力を発揮していた。

紅麗威甦でいうと「桃子の唄」「750ccライダー」「時代を越えて」この3曲あたりは定番中の定番。40年近く経った今でも耳に残るし口ずさめるメロディというのはそうそうない。あの頃強烈に耳に残った曲だからこそ今でも口ずさめるんだと思う。現在も杉本哲太を除いたメンバー3人で紅麗威として活動しているが、ライブではこの辺の曲は今でもやっている。

 俺と(お前)熱い(恋に)
 抱かれ(揺れて)甘い夢を
 好きさ! 好きさ! 好きさ! 好きさ!
 好きだぜHONEY
 いかしたBABY TO-NIGHT!!

さらに「好きさ好きさ好きさ好きさ好きさ」のドライブしたメロディは今聞いても痛快の一言でまるで疾走感の塊のような曲だ。またTAKUの書く歌詞、コーラスがリズムに乗りドライブ感をさらに増している。紅麗威甦にとって作曲家TAKUの存在はかなり大きかったはずだ。TAKUの存在がなかったら、紅麗威甦はまったく違うイメージのバンドになっていたのは間違いない。

嶋大輔にはあまり曲を提供していないが、「ルンルン気分でRock'n Roll」「Rock'n Rollでお祭り気分」など文字通りお祭り気分のポップソングを作曲している。大輔にも「好きさ好きさ好きさ好きさ好きさ」のような超ド級のドライブ感のあるナンバーを提供して欲しかったと今になってふと思う。

岩井小百合と矢吹薫に至っては、TAKUがデビュー曲を作詞作曲している。岩井小百合「ドリーム ドリーム ドリーム」矢吹薫「お前がまぶしすぎて」どちらも抜群のポップチューンだ。銀蝿一家の中でもっともアイドル要素が強いこの2人のデビュー曲を手掛けているというのは、ソングライターとして嵐さんからの信頼もかなり厚かったことがうかがえる。

コミカルでハッピー。
これがTAKUの作る曲のイメージにぴったりの言葉だ。しっとりした曲はほとんどなくとにかくハッピーだ。車に乗っている時に聞くか、曲に合わせて踊ることのみを考えて作られているかのような曲調だ。また、TAKUの作る曲は、基本的に歌詞、ベース、コーラスが全てセットとなっていると思っていい。そう考えると、TAKUは銀蝿一家の中でも抜きんでた天才肌だということに今更ながら気づかされる。

it's only Rock'n Roll

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