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紅麗威甦 ボーカリストの謎

横浜銀蝿について連続でコラムを書いたので今回は紅麗威甦について書いてみる。
紅麗威甦は横浜銀蝿の弟分。個人的には横浜銀蝿と同じくらい好きで思い入れの強いグループである。今回はその紅麗威甦のボーカリストがなぜ固定されなかったのか。長年のこの疑問に答えは出ないが、その謎について触れてみたい。

紅麗威甦(グリース)
 杉本哲太(ボーカル,サイドギター)
 Leer(リードギター)
 Mitz(ベース)
 桃太郎(ドラム)

表立ってクレジットされているのは上記のはずでオレの認識もこうである。
実際デビュー曲の「ぶりっこRock'n Roll」でテレビの歌番組に出た時も杉本哲太が歌っていた。紅麗威甦のライブは見たことがないので、実際ステージではどのような構成で演奏し歌われていたか気になったままである。

今回どうも歯切れが悪い。それはなぜか?
それは自分の中でも答えが見つからないままだからである。

確かにデビュー当時のクレジットではボーカルは杉本哲太であったはずである。
けれども、アルバムを聞くとドラム担当の桃太郎が歌ってる曲がまぁまぁある。実際横浜銀蝿でもドラムの嵐さんが歌う曲はあるしライブでも歌っていたけれどもそれはわずか2曲だけだ。そのくらいドラムが歌うというのは(元々ドラムがボーカリストとしてクレジットされてるバンドは除く)特殊な気がしているのだけれど、桃太郎はまぁまぁ多く歌っている。

今回気になって紅麗威甦の曲の中で哲太と桃太郎がどのくらいボーカルをとっているのか数えてみた。メンバーで代わる代わる歌う曲やミッツやリーが歌う曲を除くと、シングルとアルバムの全曲中、哲太が26曲、桃くんが12曲だった。数だけ見るとやはりボーカルはダブルスコアで哲太なんだけど、逆に12曲をドラムが歌ってるのはなかなか珍しい。
まぁ、意外にも桃くんは12曲程度しか歌ってないのか…とも思う。正直もっと多い印象だった。そのくらい桃くんがボーカルしている曲が多いイメージがあるのだ。

実際レコードのクレジットはどうなんだろうと気になったが、どうしても紅麗威甦のレコードが見当たらない。ただ、再発のCDでは全て担当のクレジット表記がない。バンドでは珍しいことだと思う。

もしかして、紅麗威甦は数多かった弟分候補生の中でたまたま根性があって残った4人をメンバーとし、担当楽器は後から決めたとか?
ここからは憶測だが、背の高さやルックス、ワルの雰囲気を持っているのは哲太だと思う。やはりボーカルが一番似合っているのだ。それに比べ桃くんはグラサン取ると可愛らしい顔をしていてなんとかしたくなるタイプ。ムードメーカーでもあり縁の下の力持ち的な雰囲気だ。そう考えるとフロントマンは杉本哲太でドラムは桃太郎。満場一致だろう。

じゃあどうして桃くんが歌うことがあんなに多いのか?さっき26/12というダブルスコアを出したが、4枚のアルバムの中で3枚目の「ヨロシク参」だけは全曲ボーカルが哲太だ。このアルバムだけ全曲哲太が歌っているから当然総数は増える。それがなかったら五分五分に近いのではないかと考えてしまう。

なぜ3枚目の「ヨロシク参」だけ全曲哲太がボーカルを取り、しかもわざわざジャケットのロゴ横にvocal杉本哲太とクレジットまでしたのだろう?紅麗威甦のボーカルはやはり杉本哲太なんだというアピール?それとは逆で本来紅麗威甦は杉本哲太と桃太郎両人がボーカルなんだけど、企画として「ヨロシク参」のみ哲太オンリーでいってみたということ?色々勘ぐってみるが答えは見つからない。

実は単に哲太にはこの頃すでに俳優の仕事が入り出していてレコーディングには参加しにくい状況だったというオチも考えられる。ボーカル云々ではなく実は桃くんのドラムが使いものにならなかったというのも考えられるが。

ここで問題になるのが、どっちが歌ってもええやん!とならないこと。桃くんが歌った曲の方が人気の説あり。事実桃くんが歌ってる曲は名曲が多い。桃くんが歌うといい曲になるのか?それともいい曲は桃くんに歌わせていたのか?

これはもう人の好みの問題になるから多くは語らないが、オレは桃くんの声が好きだ。桃くんがボーカルだと安心して聞けるし歌詞もすんなり入ってくる。哲太の良さももちろんたくさんあるのだが個人的には桃太郎派だ。

結論が出ないまま、あれこれと書いてきたが、オレの考察はこうだ。
元々はキャラクターも考えて杉本哲太がボーカル、桃太郎がドラムで決まっていたのであろう。けれど、レコーディングをしてる中で、あれ?この曲桃太郎が歌った方が良くない?→歌ってみるというパターンが知らず知らず増えていったのではないか。
横浜銀蝿の弟分として、当然見た目やルックスも大事だ。しかしサウンドや歌も同じように大事なはず。そこで歌は桃太郎が担当することが増えていったのではないか?

こんなことばかり書いてると杉本哲太ファンに怒られそうだが、オレはけして哲太のことをディスってるわけじゃない。むしろ哲太は大好きだ。哲太の声が好きという人がたくさんいることももちろん分かっている。哲太がいなきゃ紅麗威甦ではない。哲太ボーカルの紅麗威甦こそ最高に絵になると思っている。

しかし、桃太郎のボーカリストとしての才能は誰にも抑えられないものだった。桃くんが歌うと曲の表情がはっきりし、何を伝えたいのかも鮮明になる。持って生まれた声質もいいし、なにより感情の表現力がトップクラスだ。だから桃太郎ボーカルの曲は名曲揃いになるのではないだろうか。
哲太には悪いが、「サマーエンジェル」や哲太ソロの「春の陽射し」なんかは桃太郎ボーカルバージョンも聞いてみたかったというのが今でも持つ個人的な願望だ。

とにかく、なぜボーカルを杉本哲太一本でいかなかったのか?桃太郎に全てを任せるわけでもなく、凄く中途半端な印象が残った謎の一つではある。

It's only Rock'n Roll


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