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代役の八月納涼歌舞伎も最高に楽しかったお話

歌舞伎ファンの中では、間違いなく私も新参者ですが、「楽しかったよ!」を残すためのショートnoteです。

歌舞伎でしか摂れない栄養素がある

仕事がバタバタする中で、試行錯誤も相談事項もなかなか進まず、作業はネズミ算式に増えて行き、「はたらけど はたらけどなお、わがくらし 楽にならざり ぢつと手を見る」と、森永大粒ラムネをドーピングしてた昨今。
たまたま、こんなものを見つけてしまいました。

なんですってーーーーー!しかもかき氷美味しそう!第3部なら「やればできる!」(突然のティモンディ)仕事を早く始めて早く終えて向かうぞ。

大粒ラムネのドーピングは非常においしいです。
それでも、お友達を誘い、スケジュールを合わせ、瞬殺されそうなチケットを予約し、仕事を何としてでも一区切りつけて向かうというプロセス含めたワクワク感がとても大きく感じました。

エンターテインメントは心の栄養で、各ジャンル特有の栄養素があり、
歌舞伎には、歌舞伎でしか摂れない栄養素がきっとあります。

かき氷も、めちゃくちゃ美味しかったです。

ふわふわいちご大福かき氷


密かに歌舞伎座の地下の木挽町広場のわらび餅も好きです。(タリーズで色んな企画書の骨子を手書きしてることもある)

演じる人が脚本を書ける貴重さ

八月納涼歌舞伎の第3部の「脚本・演出」は市川猿之助さん。
慶應義塾大学国文学専攻を卒業されています。
原典に当たって構想を膨らませ、自ら脚本・演出に携わるセンスを磨ける方なのではと思っています。
(原文には昔の日本人の会話のリズムの面白さが垣間見えますよね)

新型コロナウイルスの陽性者や濃厚接触者が出た休演から、急遽代役を立てる際に、演出も調整して臨んだのではと思います。
「演じて書ける」人が情熱を持って取り組んでいる偉大さを感じました。

「今」を取り込む文化で、ピンチをチャンスに

リアルなエンターテインメントにとって、コロナ禍は本当につらいです。
観客人数制限や感染対策など、普段より収入が減るのにコストやプロセスは上がっていってしまいます。

歌舞伎座の感染対策は、本当にすごいです。各部入れ替え制にしたり出入りの度に消毒したり、徹底しています。俳優さん達も舞台を支える方々もかなり気を付けていたことがうかがい知れます。
それでも、陽性者と濃厚接触者発生による休演は避けて通れませんでした。

今回、市川染五郎さんと市川團子さんという若手の人気俳優さんが二人とも陽性になり、松本幸四郎さんも濃厚接触者に。そのピンチを、休演で終えるのではなく「代役」を立てて突破します。

え?市川染五郎さん→市川猿弥さん????????

シュッとした市川染五郎さんの代役にシュッとした中村隼人さんを当てることはしませんでした。(中村隼人さんも踊りが美しく、とても代役には見えません)

おおむね、私もこの記者の方と同じ気持ちです。よくぞインタビューしてくれました。ありがとうございます。
市川猿弥さん、立っているだけで面白いんです。某女性演歌歌手に見えてくる魔法にかかります。

代役、台本や演出の急遽変更、大変な状況だったにもかかわらず、「今の時世を取り入れる」文化とマッチさせ、見ている人を楽しくさせるアドリブとしてさらっと入れて笑わせてくれます。

第3部は「納涼」の文字通り、水を使ったダイナミックな演出があり(それだけでも十分楽しいから見て欲しい)、セットもかなり大がかりです。

役者は家で覚えりゃいいけど、すごいのは衣装と床山です。
読売新聞オンライン「世紀の美少年の代役は「ぽっちゃり55歳」…目を疑う歌舞伎座の奇策が成功した理由」市川猿之助インタビューより

前日に1回の通しでチャレンジしてくれた俳優さん達だけではなく、クオリティ高く臨もうとした歌舞伎を支える様々な人達に、たくさんの楽しさを届けてもらえたという感謝しかありません。

業界全体で、長い時間をかけて「人に喜んでもらう、楽しんでもらう、ずっと好きでいてもらう」を追究する歌舞伎の底力も感じました。

千穐楽は8/30です。ちょっと空席もあるし、ぜひ多くの方に観に行ってみて欲しいな!と思ったのでしたためてみました。
陽性になった方々の早い回復も願っています。

ああ!楽しかった!
歌舞伎でしか摂れない栄養素って、絶対あります!

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