2月1日木曜日の夕方。
その機会は突然訪れた。
Xにて。
清竜人を名乗る謎のアカウントからフォローされたのである。
どうやら、公式のアカウントではない。なぜなら公式は別に存在するからだ。
清竜人については、ラジオでも語ったり、有人のイベントでも話したりするくらいには、私の中で大好きなアーティストである。
圧倒的な音楽センスと、それを上回るくらいの変態性を両立させる天才。
それが清竜人。
本来ならば、このようなアカウントからフォローされてもブロックするか無視するかで終わってしまうところだと思う。
だが、私は彼のパブリックイメージが「突発的に思いがけないようなことをする」人間だということを知っていたので(突然竜の刺青を背中に掘ったりなど)公式じゃない裏アカウントで、ファンと接触をはかるような行動をとってもそこまでおかしくはないかと信じてしまったのだった。(あとは相互フォローしている対象の感じが何かガチ感があったというか。)
というわけで結論から言うと私はこの清竜人を名乗るアカウントと相互フォローになった。
目的は一つ。
彼に、私の想いがどれだけ強いか、どれほど曲が好きなのか伝えることである。
相互フォローになると早速ダイレクトメールで、このようなメッセージが届いた。
うーん。
怪しいか。
ちょっと流石に怪しいか。
本来のメッセージには絵文字なども含まれている。
まあ、彼っぽいといえば彼っぽいし。
偽物といえば偽物っぽいし。
ここで書いているのは素直な気持ちである。
本物なら僕みたいな一ファンを見つけてくれてありがとうだし、なりすましなら相当キツいことしてるけどなあ、と思いながら長文を送ってみた。
すると早速返信。
えー、ほんまかなー。
絵文字もたくさん使ってはるけどなあ。
などと宣いつつ、実際は本気で本人だと思い込んで、旧知の友『五味たろう』と朗読劇の恩人『宝亭お富』にLINEで連絡したりなどした。
(おのぼりさんの私は『何か竜人くんに言いたいこととかありますか』とか聞いたりしていた。全然偽物の可能性もあるのに。33歳、冬のことである)
きたきたきた。
これを伝えるために相互フォローになったのよ、私は。
というわけでその熱い思いを文章にして送る。
本気ゆえの文章。
本当に書こうとしているので本人かの確認も欲しくなりました。
おおおお。
なんだ、このどっちとも取れる文章。
「これ以上詮索するなら、僕はさよならするよ」みたいな。
ずるいな、ずるいな、これは。
「え、私たちって付き合ってるよね?」に対する回答と同系統か。
(今、思えば不自然な文体だし何か違和感を感じてもおかしくなかったのではないかと思う。)
この返信に、清竜人的な何かを感じとる謎のファン。
そうして数時間後。
絞れません、一曲になんて。
というわけで各部門に分けてみた。
マジで最高の一曲。
極端に思うかもしれないが、間違いなく人生を変えた一曲。
なんというか「どうしようもない世界でもポップなカルチャーの多幸感が全てを飲み込む様」が本当に大好きで、この曲の持つ多幸感は間違いなくそれ。そもそも一夫多妻制アイドルなんてウルトラマイナススタートなのに、それでこのポップな曲ってすごくないだろうか。
いや、ちょっと待ってくれよ、竜人くん。
まだ、3部門残っているのよ。
出身とかお仕事とか、まるで出会い系みたいなこと聞いてこないで!
まだ語りたりてないからね!
清竜人の楽曲はセリフとの相性も非常に良い。(声優とか俳優の音読とか聞くの好きな人は清竜人の「雨」や「ゾウの恋」はマストです。)
つまり言葉を紡ぐプロの声優さんと相性が悪いわけがない。
特にほっちゃんと竜人氏のペアは本当に安定安心のクオリティで毎回驚かされる。「CHILDISH♡LOVE♡WORLD」とか本当に名曲だよな。
あの頃の声優談義で一花咲かせようやと期待に胸を膨らませる横林。
対して竜人氏の返信。
そうがっつくなって竜人くんよ。
まるで出会い系みたいな文面だよ。
まだ、2部残ってるんで。
曲のタイトルや歌詞の題材に賛否両論ある彼。どの曲も聴き心地に関しては一定のクオリティを保っていて、そこが大好きな点なのだけど、この曲はそういう飛び道具のような点が一才なくまっすぐでいいなと感じる。
キャッチなメロディでポップで突飛じゃなければ、それはもう王道のラブソングなんだよな。
ちなみに清竜人がブドウを題材にしているのがヘンテコすぎてマジでなんでだろうなと考えていたった結論がめちゃくちゃ私信みたいな歌詞だったのじゃないか説だったりする。
しかし。
ここで残念なことが起こった。
なんと、清竜人のアカウントが私のLINEのアカウントを尋ねてきたのだ。
ここでようやく分かった。
「え、偽物のアカウントやん」って。
ライン?
33歳男性(太っている)のライン?
なぜ…?
よくよく文章を見てみるとAIのような文章だし(気づくのが遅い)、
住んでるところ聞くのもネットナンパの常習っぽい(気づくのが遅い)。
悲しい事実に気づいた私はこのような文章を送った。
それは悲しみと憂いを帯びたさよならの一文。
騙す方も騙す方だが、送る方も送る方だな。
アカウントの人もびっくりしたと思う。
こんなこと言ってくるやつに絡んでしまったのか、と。
しかしだ、竜人氏(偽物)。
私は、あなたにまだ一つだけ伝えられていないことがある。
何かわかるかい。
これこれこれ!
これの発表が送れていないんだよ。
聞いてるかい。清竜人さん(偽物)!
あわよくば本物の清竜人さんにも届いてほしい。
この歌が好きな理由。
まあ、そうそう人生なんて運良く出会えるものじゃないよな。そう思ってX(旧Twitter)を眺めていたらこんな内容のものが流れて来た。
ちなみにこのつぶやきはブロックをされた次の日くらいにつぶやいてたものである。
ワンチャン本人の可能はー、ない、か。ないな。うん、多分。
拝啓、清竜人様。
偽物でも本物でも、大好きです。