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やきものの街・常滑の古窯を活用したレストラン

前回は5月に愛知・常滑市で行われた展覧会とトークイベントをレポートしました。

https://note.com/yokoando/n/n1dd5178a06c3

今回はその時に訪れたご当地ならではのお店をご紹介しましょう。

常滑駅から徒歩4分の場所にある「バー&ビストロ 共栄窯」です。
http://bar-kyoueigama.com/

かまぼこ型の窯の内部にカウンターやテーブル席を設けています

常滑は大正から昭和40年代にかけて、土管の製造などの窯業が主要産業でした。この「共栄窯」では明治、大正、昭和にわたって様々な土管を焼き続けてきた煉瓦造りの古窯をリノベーションし、レストランとして活用しているのです。

この古窯は炎が天井から地下に流れる構造で、「倒焔式角窯」と呼ばれています。

※「倒焔式角窯」の解説★
(★はすべてINAXライブミュージアムのwebサイトから)
https://livingculture.lixil.com/ilm/learn/knowledge/knowledge_kiln/


窯の外側にある焚き口のひとつ。ここから燃料の石炭や塩釉のための岩塩を入れます

窯の両側には片側6か所、合計12か所の焚き口があります。ここから燃料の石炭を燃やして窯内部の温度を1200℃程度に上げます。なぜこの温度かというと、塩釉(えんゆう)の土管をつくるためです。

塩釉とは、釉薬の代わりに塩を使う特殊な施釉技法のこと。粘土質の土管などを焼くときに、1200℃程度の最高温度になったタイミングで、岩塩を燃料と一緒に窯の中に投入。そうすると化学反応により、表面に釉薬のようなつやが生まれます。あらかじめ釉薬をかける必要がない上に、塩釉によって土管から水が染み出ない保水性が確保できるというわけです。

大正11年ごろから登場した塩釉の土管はこのような高温で焼造されるため、強度があり水漏れに強い最高品質の製品として全国で評価されたそうです。

常滑で焼かれていた土管について★
https://livingculture.lixil.com/ilm/learn/collection_earthenwarepipe/

この「共栄窯」から車で約6分(徒歩約25分)のところにあるINAXライブミュージアムでは、共栄窯と同じ構造の「倒焔式角窯」が展示されています。常滑が土管製造の街として栄えた歴史も解説。

窯のある広場・資料館★
https://livingculture.lixil.com/ilm/see/exhibit/exhibit_kiln/

共栄窯に飾られている当時の職工たちの写真

もし街歩きをするなら、一例ですがミュージアム~「やきもの散歩道」とたどっていけば、やきものの街・常滑がより楽しめるのではないかと思います。ちなみに下のマップで赤い矢印の下に見える「とこなめ陶の森 陶芸研究所」はモダニズム建築家・堀口捨己の設計です。

とこなめ観光協会で入手した観光マップ。Aコース拡大マップは下に
古い窯や煙突が残る、常滑やきもの散歩道のマップ

なお、共栄窯はレストランですので、食事の場として訪れることをどうぞお忘れなく。ランチ&陶芸体験コース(要予約)も用意されています。

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