勝手にチャレンジ1000 0114 重機

 実家の斜め向かいの家が解体され、土地が売りに出された。住宅メーカーが買ったようで分譲住宅の幟がたった。まだ建物は建ってないけど、母屋と庭に建てた一軒分の更地に3階建てが四軒建つのだそうだ。近頃のうちには庭は不要だね。

 どこかから、あーあーあーと、声がする。
 朝からおじさんが発声練習でもしているのかと思ったら、整地する重機の音だった。擬音語にすると、ウィーン、ウィーンとか、ガーガーとか、なのかな、と思ったのだが、そんな一般的な表記とは違う。どう聞いても、母音はあ段の、しかも、ぎぃぎぃとか、がっちゃんがっちゃんとかの機械の濁った音ではなく、あーあーあーと、肉声のように聞こえる。

ああ、ああ、あー
クレーンの首が右に振れる。
ああ、ああ、あー、今度は少し上下に。

何の作業かはわからないが、ピアノで確かめたら、真ん中のシ、と、ファの#、で、ああ、だった。
シファ#、シファ#、シー。
ああ、ああ、あー。
おじさんの声は、私が出掛けるまで、しばらく続いていた。

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