質問です。「健康ってなに?」5秒で答えてみましょう。
いきなり唐突な質問を投げかけてしまいました。
皆さん、答えられました?笑
今、産業保健における運動指導についての総論を読んでいて、改めて「なるほどなー」と腑に落ちたので、今日はそれを記事にしたいと思います。
医療関係に勤めている方は、さすがに
「健全な心は健康は体に宿る!!」などとはもう考えていないと思います。
しかし、医療にしても、産業保健にしてもその役割は「対象者の健康を守る」「今よりも健康な方向に導く」であることに変わりはありません。
じゃあ、この目指すべき「健康」って何でしょう?
書籍によると
「環境に適応し、その人の持っている能力は十分に発揮されている状態」
とされています。
日本健康教育学会では「例えば糖尿病という「病い」を患っていたとしても、その人はまだ多くの健康を身体に宿している。持っている健康を使って、仕事をすることも日々の生活を楽しむことも可能です。病気はなくならなくとも、今持っている健康を十分に活かしきってより良く生きることも、また重要なのです」と。
なるほど、今持っている能力を発揮する、十分に活かす。
これ、私が理学療法行う上で、めちゃくちゃ大事にしていることとつながるのです。
私は、その人の身体がどうすれば今の状態よりも楽に動くようになるのか?を理学療法評価の基本にしています。
https://note.com/yoko_pt_20/n/n5b2e9b6bc032
実習生や、新米の時は「患者さんの問題点」を列挙し、それを改善するためのプログラムを立てていました。
しかし、2年目の時に行った、国際PNF協会のセミナーで、衝撃の言葉を耳にします。
「患者さんの潜在能力を引き出す。これが理学療法士の役割です。」
これを聞いた時に鳥肌が立ったことを未だに覚えています。
講義してくれたのは、IPNFAシニアインストラクターの市川 繁之先生。
柔らかい物腰ながら、その治療は「神」レベルです。
誤解を恐れずに言えば、どんな人でもよくなってしまう。
その患者さんが市川先生に触ってもらったことで、元気になり、身体に納得がいって、笑顔になる姿を目の当たりしてきました。
その市川先生が、治療で一番はじめに意識するべきこととして、こうおっしゃったのです。
問題点とは「できないこと」「やれないこと」。
一方で、潜在能力とは、「本当はできるけど、何かが邪魔してできないこと」
理学療法士は本当は持っている能力と、邪魔しているものを取り除くのが仕事なのだと。
例えば体の硬さが原因で筋力が発揮できないなら、硬さをとるためのストレッチや対象筋への適切な刺激を入れる。
体幹機能が落ちていることで腰の痛みが出ているなら、すでに行っている呼吸など、持っている機能を使って引き上げる。
理学療法士は、「リスクを熟知し、疾患があっても安全に運動指導ができる」という国家資格です。
いくら能力を引き上げると言っても限度があり、「いやー、この患者さんにこれ以上はやっちゃダメでしょ」というラインがちゃんと引ける。
理学療法士は安全に潜在能力を引き出すことができる。
そこからは若輩ながらも「どうしたらこの患者さん、本来の力が発揮できるんだろう」という視点で評価を行うようになりました。
問題点やできないことをピックアップするよりも、格段に思考力を有しますが、この方法で行うとまず患者さんが自分の身体を好きになってくれることに気づきました。
自分の身体への自己肯定感は、患者さんが治っていく過程で非常に重要です。
健康の話に戻ると
能力を使い切ることと、潜在能力を引き出すのはほぼ同義。
理学療法士として産業保健に関わっていくにしても、自分の理学療法スタンスは患者さんに対する時の考え方から変える必要はない。
むしろ、変えずに関わり続けることが大切なんだと、強く感じました。
今日も患者さんの潜在能力引っ張り出すぞ。笑。
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