患者さんのスイッチはどこにある??呼吸EXを考える
ピラティスを勉強しだしてから、一つ問題が出てきました。
「最近やたら呼吸EXばかりやってるな・・・」
これでいいのか?私。。
確かに呼吸、大事なんですよ。
インナー効かせるためにも、そこから四肢の運動に入る意味でも、準備段階として、胸式の呼吸で横隔膜や骨盤底筋が動くようにトレーニングしていくことはすごく大事。
だからこそ、最近はリハビリの問題点がいきなり「呼吸が苦手」になってしまう傾向がありました。
私の場合、潜在能力を引き出すリハビリが好きなこともあり、呼吸はみんなが持っている機能だから、そこを頑張ろうとしてしまう思考癖もあったのかもしれません。
整形外科に来るレベルの患者さんだと、大抵呼吸は上手にできていないし、脊柱が動いていないことも多々ある。
でも、患者さんの反応を見て思うのは、呼吸EXに対して結果が出る人は限られているということ。
少し細かく言えば、呼吸は体幹機能の基本だけど、必ずしも治療選択肢の一番に入る訳ではなく、場合によってはやらない方がいい場合もある、ということです。
この治療が効くんだわ!という「スイッチ」は患者さんごとに違う。
リハビリで患者さんに関われる時間は限られています。(開始から150日)
その中で最大限の効果を出せるように、治療の優先順位づけとスイッチを見つける努力が必要になります。
たとえ、「呼吸は動きの基本である」という知識があったとしても、それを難しくしている要素があれば先に取り除くべきだし、呼吸を取り入れることで患者さんが混乱してしまうようなら、今はまだやる時期ではないのです。
逆説的ですが、この問題を考えるには、「呼吸とは何か」をきちんと理解する必要があります。
呼吸は生命活動の一環であり、その目的はガス交換です。
体幹機能を上げる目的で、人にとっての呼吸があるのではない。
患者さんにとっては、細胞に酸素を送るために今のレベルの呼吸をしていれば、ひとまず生命活動は成立しているわけです。
深い呼吸が必要なのであれば、それが必要なだけの運動強度を設定すれば、体が酸素を必要とする結果、自然と生命活動維持のために患者さんは深い呼吸をするようになります。
だから、呼吸の練習せずとも、患者さんの可動域・筋力・バランス能力・痛み・モチベーションを踏まえて、最適な環境での運動を提供できればいい。運動に痛みがあるなら、呼吸を止めてしまうので、痛みを取り除いてから処方する。
呼吸が止まらないようなレベルを患者さんへの指示無しで行って
「今の運動、ちゃんと呼吸止めずにできてたよ。そのやり方で続けてね!」と言ってあげる方が患者さん、いい顔するんですよね。
ちなみに呼吸EXがガッチリハマった患者さんも30人中2人くらいました。その人は多分しっかりと呼吸できないことが主問題だったのでしょうね。
新しいコンセプトを学び出すと、自分の臨床が一時的にそれ一色になってしまったり、軸がぶれて混乱したりもしますが、一つ一つ基本に戻って整理しながら自分の武器にしていきたいと思います。
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