家出してきた陽気な子猫ちゃんを拾いました
ピピピピッ、ピピピピッ
俺は寝返りを打って、アラームを止めた。
姫奈: おはようにゃんっ!
〇〇: おはよっ、ひにゃ
俺は横で寝ている姫奈の頭を撫で、立ち上がった。
姫奈は最近道端で拾ってきた猫だ。
いや、一応人間なのだが。
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姫奈: にゃんっ!
狭い街路樹の側に20歳前後の華奢な女の子が座っていた。
女の子は薄いワンピースを着ていて、
猫耳のカチューシャをつけている。
荷物は何も持っていないみたいだ。
姫奈: にゃんっ!
流石にスルーできるわけもなく、
俺は女の子に話しかけた。
〇〇: そんなところで、何をしているの...?
すると、女の子は答えた。
姫奈: 私を...拾ってくれる人を探してるんです....
〇〇: 君、お家は?
姫奈: 家出...してきてぇ...
だからこーやって誰か泊めてくれる人をここで待ってるんです。
〇〇: そうなのか、、なんで...猫耳つけてるの?
姫奈: かわいいカチューシャつけてたら拾われやすいかなと思って。へへへっ//
〇〇: はははっ、面白いね。
姫奈: お兄さん、家泊めてくれませんか...?
華奢で美しい体のライン、
ツヤツヤの髪に、スッキリとした輪郭、
綺麗な鼻筋に吊り目がちな二重瞼
子猫のようなその容姿は
俺の好みにかなり合致していた。
〇〇: まぁ、いいよ。一晩ぐらいなら。
姫奈: え、ほんとですかっ!
ありがとうございます...!!
2人は、〇〇の家に歩き出した。
〇〇: 君、何歳なの?
姫奈: 20歳です!
〇〇: 20歳か。
俺はホッとした。
成人済みなら警察沙汰にはならなさそうか...?
姫奈: 未成年だと犯罪ですもんね?きっと
〇〇: そうだね...成人しててよかったよ。
ほんとにそうだろうか。
これは立派な"誘拐"なのではないか?
姫奈: ふふっ...私が20歳越えててよかったですねっ♡
〇〇: そうだな...
姫奈: 未成年に手出しちゃったらどうなるか分かんないですもんね〜!///
〇〇: やめてくれ、
俺がそーいう目的で君を拾ったみたいじゃないか。
姫奈: え?そーいう目的じゃないんですか...?
〇〇: 違うよ。善意、善意だよっ!
姫奈: へぇ〜、お兄さん誠実〜!!
下心が全くないとは言えない。
だが、困ってるなら助けてあげたいという善意で拾ったのも事実だ。
姫奈: お兄さん、お名前はなんて言うんですかっ?
〇〇: 〇〇だよ。
姫奈: 〇〇さんっ!♡
〇〇: 君の名前は?
姫奈: 姫奈でぇーす!呼び方はご自由にぃ!
〇〇: とりあえず、姫奈ちゃんって呼ぶね。
姫奈: とりあえず〜?
だったら、ひにゃって呼んでください♡
〇〇: ひにゃ!?
姫奈: そうですよぉ?ひにゃ、にゃんにゃん♡
俺は、とんでもない猫を拾ったのかもしれない。
そうこうしているうちに、家の前に着いた。
俺はポケットから鍵を取り出した。
ガチャッ。
〇〇: いいよ、先入って。
姫奈: おじゃましまーすっ!
わぁ〜、結構綺麗にしてるんですね〜!
〇〇: まぁ、一応ねぇ〜
姫奈: 彼女さんとか居ないんですかー?
〇〇: 今は、いない。最近まではいたんだけど。
姫奈: へぇ〜、じゃあ姫奈しばらくここにいても大丈夫ですねっ!♡
〇〇: さすがにダメだよ。親御さん心配するよ?
姫奈: いいんですっ。どうせ私がいなくなったことにも気付かないような両親ですから.....
〇〇: いや、でも.....
姫奈: お願いします...
しばらくここにいさせてください.....
手慣れた上目遣いにドキッとする。
〇〇: 分かったよ...気の済むまでいてくれ。
姫奈: やったぁ!ありがとうございます.....!♡
ギュッ。
突然、姫奈が抱きついてきた。
〇〇: ちょっ...
姫奈: 〇〇さんっ♡
俺は姫奈の頭を撫でてあげた。
姫奈: ぎゅーっ///♡
姫奈は、
愛情を確かめるように俺に力強く抱きつく。
陽気な子猫ちゃんとの共同生活が、始まった。
fin.