見出し画像

誕生日に「おめでとう」と言うことを忘れた母が伝えたかったこと。

誕生日の朝、母からの着信。

〝あ、まだ、覚えてたのかな。。〟

少しだけ嬉しくなった。
日々、認知が進む母、
この電話も全く関係のない電話だったら
虚しいな。

自分の誕生日に親から電話があっても
この電話がお祝いの電話かどうか確信が持てない。

これが今の私の現実だ。

やっと紡ぎ出す母の言葉から
「おめでとう」と言ってくれるのを
ゆっくり待つ。


「あのー、ね、あ、の、ねぇ〜。
お母さん、お姉ちゃんとあなたを産んでよかった〜」

そう言って母は電話を切った。


母はたぶん、
私の誕生日だと言うことは覚えていただろう。
でも〝おめでとう〟ということ忘れてしまったんだ。

朝からすこし悲しい気持ちになった。



午後になり
夫と子どもたちがケーキを買いに出かけてくれ
静かな空間になった。

ふっと母のことを考える。

今日この日。
娘の誕生日に、「おめでとう」ではなく、
「産んでよかった」という言葉がでてきたこと。


母が〝自分が産んだこと〟に焦点を当てたこと。

今なら少しわかるし、
産んだ日のことを思い出していたのかなと
思いを馳せる。

認知が進み、以前のような母でないからこそ、
聞けた言葉かもしれない。


なんだかじわじわと泣けてくる。


我が家の男たちが
みんなでケーキを買って帰ってきた。

「卵のケーキにしたの!」

何が卵なのかは謎だが、
長男は迷わず
真っ白なチーズケーキを選んだそう。

なんだか心が洗われた気がする。


今ここにいる3人が
私の新しい家族だ。


この家族に出会えてよかった。

夫と結婚してよかったし
この子たちを産んでよかった。

私には新しい家族がいる。

そんな当たり前に
感謝する一年にしようと思う。

この記事が参加している募集

これからの家族のかたち

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?