光るアワビ その1(全2回)


今日はね、ずっとずっと昔の允恭(いんぎょう)天皇、454年から486年ころにあった淡路島でのお話しだよ。
ポンと昔の昔。今から1500年よりも昔のこと。19代目の允恭天皇が、淡路の国へ狩りに行った時のことです。といいますのも淡路の国からは朝廷にたくさんの鹿や猪のお肉やらお魚やら、お米などがたくさん献上されてきていたからです。

ところが、允恭天皇が野山に行きますとウサギ一匹見当たりません。これはおかしいと允恭天皇は、連れてきていた占い師にその訳を聞いてみたのです。
「ただ今、占いましたところ、イザナギの神が現れまして、言う事には、明石の海の底に白玉があり、それを獲ってきてイザナギの神に祀る(まつる)なら、このあたりで獲れる獲物はすべて与えようと仰せになりました。」
允恭天皇は話を聞くと、早速近くにいる海士(あま)たちを集めさせて海に潜らせたのでした。海士とは海の中に息を止めながら潜って貝などを獲って来る人たちのことをいいます。けれども、海の底はとても深くて、そこまで潜れる者はありませんでした。そこで、もっともっと深くまで潜れることのできる海女はいないかと、方々(ほうぼう)を見つけさせたのです。すると、隣村の阿波の長邑(ながむら)に男狹磯(おさし)という海士がいて、この人は人の倍くらいも潜ることができるというのです。早速允恭天皇のところへ男狹磯は連れてこれらました。そうして、白玉を見つけるために、長い長い縄を腰に巻いて、海の底へと潜っていったのです。50尋(ひろ)も海深くへと潜っていき、やがて戻って来た男狹磯は、肩を弾ませながら言いました。
「この底に、とても大きなアワビがあって、それが光っているみたいです。けれど、とても深くてあそこまでは潜れそうもありません。」
船の上にいる者たちは、しばらく黙っていましたが、その光るアワビこそ、白玉に間違いなかろう。どうか、そのアワビを獲ってきてはくれまいか。允恭天皇さまが何よりも欲しがっておられるのじゃ。イザナギの神さまにお祀りするのじゃよ。男狹磯(おさし)よ、どうかお願いじゃ。」

今日はここまで。読んでくれて、ありがとう。
男狹磯(おさし)はどうするのかな、気になるね。
続きは明日だよ。ポン!

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