藤堂高虎(とうどうたかとら)の夜話 その1(全2回)



秋の夜は長いというんだよ。大人たちは夜にお話しするのが大好きさ。徳川家康(とくがわいえやす)とその子、2代目の将軍になる秀忠(ひでただ)はよく夜話に藤堂高虎(とうどうたかとら)という武将を招いてはお話を聞いていたんだって。

高虎は1556年生まれというから、織田信長(おだのぶなが)や豊臣秀吉(とよとみひでよし)たちの20歳も年下。徳川家康よりは15歳年下の武将なんだね。

最初はね、北近江の浅井長政(あざいながまさ)の足軽だったんだ。それから豊臣秀吉、徳川家康とお殿さまを替えながら仕えてきた武将なんだ。宇和島、愛媛県のお殿さまさ。高虎はね、お城作りの名人だったんだって。そして、家来たちからも好かれていたんだって。

ポンと昔。関ヶ原の戦いの終わった江戸時代の最初の頃さ。藤堂高虎のお話しは勉強になるからといって、徳川家康や二代目将軍の秀忠(ひでただ)はよく高虎をお城に招いてはお話を聞いていたんだって。今頃の秋の夜のことさ。お庭で虫たちがビリっと鳴いていて、夜風がお部屋に流れ込んでくる。
「天下泰平(てんかたいへい)で最も重要なのはなんだろうか?」
と秀忠は訪ねてみたよ。
「人をよく見ることこそ第一でありましょう。大軍を率いるのが得意な勇気あるもの、侍(さむらい)たちをよく指揮する大将。逃げることなく持ち場を守って討ち死にするもの、いろいろありますが、自分の得意とするところで働いてこそ、その者の働きが最大限に発揮されるのですから。軍としての力がもっとも強くなれるのです。」
とね。続けて高虎が言うには、
「疑心を抱くことなきよう。くれぐれもご注意なされませ。上に立つ者が下の者を疑えば、必ず下も上を疑うようになります。疑心が生れたならば、うそを言って離反していく不届き者もあらわれます。これは世の常でございます。」
それってうそじゃないの?本当なの?ボクのこと騙して(だまして)いるんじゃないの?って思い始めてしまったら、そのグループを出て行く者たちがでてしまう。それって普通のことなんだよ。といっているんだね。

今日はここまで。
明日は石田三成も登場するよ。
読んでくれてありがとう。
お休み、ポン!

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