姫路城の七不思議より お菊の井戸 その2(全3回)


ポンと昔々。今から500年も昔のことじゃよ。永正(えいしょう)年間、1504年から1520年のことじゃ。この頃の播州の藩主は、小寺則職(こてらのりもと)というお殿さまじゃったよ。このお殿さまの家老に、青山鉄山(あおやまてつざん)というのがおったんじゃ。家老とはな、家来の中でも身分が高いもんでな。お殿さまのお傍(おそば)で何やかやと話のできるもんじゃったよ。ところがな、この鉄山がある日、仲間の者と良からぬ話をしておったんじゃ。そうじゃよ。主君のお殿さま、小寺則職のお殿さまを密かに殺してしまおうと相談しておったんじゃ。そこにな、たまたまこの青山家に仕える女中のお菊という娘が聞いてしまったんじゃ。お菊さんはビックリしてな、こりゃ大変と衣笠元信(きぬがさげんしん)に相談をしに行ったんじゃよ。この衣笠元信とはな、小寺のお殿さまに仕えるお殿さまの中でもなぁ、一番に頼りになる者じゃった。厚く信頼されておったんじゃよ。でな、お菊さんはこの衣笠元信の一番仲の良い女の人じゃったんだ。お菊さんのおかげで小寺則職(こでらのりもと)のお殿さまは殺されずにすんだんだ。ところがな、これを知った青山鉄山は怒り狂ってしまった。悔しくってならなかったんじゃ。何とかお菊さんを懲らしめたかったんじゃ。鉄山はな、お殿さまからいただいた大切なお皿のセット10枚のうちの1枚を隠してしまったんじゃ。そしてお菊さんに言ったんじゃよ。
「家宝の皿が1枚見当たらぬ。お菊、お前が知っておろう。」
お菊さんはビックリしてしまってな。知っておろうとは、盗んだんだろうということじゃ。

さてさて、今日はここまで。
明日はいよいよ最終回だよ。
お休み、ポン!

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