伊達政宗さまとカジカっこ その2(全2回)


ところが、この話が仙台の伊達政宗さまのお耳に入ったんだよ。
「あっぱれなカジカっこよ。でかしたでかした」
と手を打って喜ばれ、
「カジカっこを連れて来よ」
と命じられたんだって。
宮床のお殿様はね、谷川のカジカを一匹残らずつかまえて、「献上、カジカっこぞ!」と言って籠に乗せて政宗さまのもとに届けたんだって。
政宗さまは豊臣秀吉や徳川家康たちがビックリするほどの強い武将だったんだよ。それに、政宗さまはなんと、お料理が大好きな方だったんだって。政宗さまは日本で最初にお味噌の工場を仙台の街の中にいくつも作っていた方だったからねぇ。ほら仙台味噌って聞いたことないかなぁ、、、お買い物に行った時、お味噌売り場で見つけてみてねぇ。

でね、政宗さまは谷川で天下を取ったたくさんのカジカをご覧になるとね、たいそう喜ばれてね、
「皆とともに食べようぞ」
と言って、家来たちに準備をさせたんだよ。お庭にバーベキューの準備をさせて、カジカを次々と塩焼きにしては家来たちや村人たちと分け合って食べたんだって。
「幼子や年寄りの者には吸い物にせぃ。甘露煮は精が着くぞ」
政宗さまもね自分で焼いたカジカをバリバリと食べながら、大好きなお酒を飲んでいらしたって。それでね、皆がカジカを美味しそうに食べている間を満足そうに歩いていたんだって。
「負け知らずの政宗さまよ! お優しき政宗さまよ、ありがたきことよ」
と皆は言っていたよ。

伊達政宗さまは独眼竜(どくがんりゅう)と言われていてね。子供の頃、天然痘(てんねんとう)という病気にかかってしまって、そのばい菌が右の眼に入ってしまって、それからは右目が見えなかったんだよ。左の眼しか見えなかったんだけど、戦いも強かったし、お料理も大好きな素敵な武将だったんだね。
今だって、伊達政宗さまの人気はすごいもんねぇ。ダテめがねとかダテの薄着なんて言葉はこの政宗さまのところから言われてきたことらしいからね。このお話はまた後でね。

さあ、おやすみ。

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