「あれは、どこにつけるか?」子供厳禁、黙読で準備(全1回)


 
ポンと大昔。 

北海道に住んでいたアイヌの人たちに伝わっているお話だよ。 
うんと昔の北海道は、日本ではなくて外国だったんだよ。 
注意)パパママにお願い、ポン。ここからは黙読で下読みしてから、うまく説明してあげて、ポン! 
 
ずーずーっと大昔。カムイといわれる国造りの神さまたちがやっとこの世界をお造りになりました。カムイは山に腰掛けて、世界を見渡していいました。 
「美しい国ができたのぉ。さて、夜の神よ、何か良いものを作ってはくれないか」 
「そうですなぁ、ならば、このようなものはいかがですかのぉ」 
夜の神は足元の土をすくい上げて、手のひらの中でコネコネと練ってまとめ、それに近くにあった柳の枝を折ってその土の塊(かたまり)に突き通して、片方にはハコベの草をくっつけてみました。それをそっと土の上に置いて、あゆぎと言われる死んだ者を生き返らせる不思議な力を持った扇のようなものをワーサワーサと、あおいだのです。すると、次第にその土は渇いて人間のような形になりました。ハコベの植えた所は、頭となって、柳の枝は背骨になったのです。けれども、夜に作りましたから肌の色は黒くなったのです。
 
「黒い肌の男ばかりでは子供が増やせぬのぉ、それでは昼の神よ、白い肌の女の人間を作ってくだされ」 
昼の神は早速、夜の神が作ったようにして、昼間に女の白い肌の人間を作りました。そうして、眠いとか食べたいとか、好きとか嫌いとか、許すとか可哀そうとか、いろいろの十二個の欲の玉をそれぞれの人間に埋め込ました。 
「たいそう良いものができたのぉ、さて何と名づけようぞ。」 
「うーむ、アイヌではいかがでしょうか」 
そう言ったのは、明けの明星の神のカムイでした。アイヌとは人間という意味なのです。 
「さて、最後にあれをどこに付けようぞ」 
人間の繁栄の素(もと)となるものをどこに付けたらよいかということが、神さまたちが一番困ったことでした。神さまたちは、あれこれと考えました。 
「うーむ、ひたいに付けてはいかがかのう。そこならば、一番目立って分かりやすくて良いであろうぞ。」 
というので、試しに付けてみることにしました。黒い肌の男の額(ひたい)には、男のあれを、白い肌の女の人間には、女のあれを、それぞれ額に付けてみたのです。すると、おはよう、こんにちは、こんばんは、と挨拶(あいさつ)をするたんびに、シュッポンシュッポンとくっついては子供が生まれ出てしまったのです。 
「どうもこれではおかしいのぉ。うーむ、それでは腋の下(わきのした)ではいかがかのう」 
というので、黒い肌の男の腋の下には、男のあれを、白い肌の女の人間の腋の下には、女のあれを付けてみたのです。すると今度は、男と女が並んで歩いて腕を組むたんびに、シュッポンシュッポンくっついてしまって、またまた子供が次々と生まれすぎてしまったのです。 
「こちらも、うまくはないのぉ。うーむ、それでは股の間(またのあいだ)ではいかがかのぉ。少しばかりやりにくいのではあるがのぉ」 
と言う訳で黒い肌の男の股には、男のあれを、白い肌の女の股には女のあれを付けてみたのです。 
「ここは、ちょいとやりにくそうではあるがの、あれじゃなし、これじゃなしと楽しみおるからの、ここが一番良かろうて。」 
という訳で、あれは、あそこに付くことになったのです。そんな訳で、頭や腋の下にある毛は、神さまたちが試しにあれを付けてみた名残りだそうですよ。 
「はい、シュッポン、ポン」 

これでおしまい。ポン!

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