岩手の地名の由来(全1回)



ポンと昔々のことだよ。
岩手っていう地名がついたお話。

岩手県の盛岡(もりおか)ってところは、そりゃあ、どこまでいっても森ばかり続いている寂しいところだったんだよ。盛岡の東顕寺(とうけんじ)の裏にはね、三ツ石(みついし)といわれている大きな岩があるんだ。この三ツ石はどこからやってきたかというとね。岩手山から飛んで来たんだ。大昔、うーんと大昔のことだったよ。岩手山が身震いして、地響き立ててドドーンと、岩をここまで吹き飛ばしてきたことがあったんだよ。

ある時ね、このあたりに羅刹鬼(らせつき)っていう鬼が毎晩のように出てきてねぇ、村人たちをさらっていったり、馬や牛を盗んでいったりと、いろんな悪いことをしていたんだって。村人たちは、そりゃあ困ってしまってね。皆でね、三ツ石の神さまに、どうぞ羅刹鬼を退治してくれますようにとお願いをしたんだよ。そうしていたら、何日かたったある日、その三ツ石の中から、羅刹鬼の鬼の声がグワンワン、ゴワンワンとするんだって。三ツ石の神さまが、羅刹鬼を捕まえて、岩の中に閉じ込めてしまったんだよ。羅刹鬼は涙を流してね、許してください、もう悪いことはしませんと泣くんだって。三ツ石の神さまは、やさしい神さまだったから、この村から出て行くと約束するならと、許してあげることにしたんだって。三ツ石の神さまはね、その約束を守るしるしとして、岩に鬼の手のひらんの手形をべったりと押させたんだって。
「今だって、三ツ石の上には、雨上がりの後なんかは、鬼の羅刹鬼がつけた大きな手形がクッキリと見えるんだそうだよ。こんな風に鬼が岩に手の形を押したというんで、「岩手」の地名ができたって言われているんだって。面白いね。

盛岡のこの三ツ石の手形を見に行ってみたいね。どのくらい大きな手形なのかなぁ。

さあ、お休み。

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