伊達政宗さまとカジカっこその1(全2回)


昔々のこと。陸奥(むつ)の国のお城、青葉城(あおばじょう)に伊達政宗(だてまさむね)さまという超有名なお殿様がいらっしたころのことなんだって。
江戸時代の最初の頃だね。

さて、陸奥の国の黒川(くろかわ)、今の福島県、宮床(みやとこ)の谷川での戦いのお話だよ。

その谷川の上流というから、山の方にある川の中でのこと。フナとカジカの魚たちが毎日喧嘩ばかりしていたんだって。カジカたちはきれいな水の川底の石の間で静かに休んでいると、頭の上をフナたちがズイーリ、ズイーリと行ったり来たりとしているから、うるさくってたまらない。
「ごちそうの虫を待っていれば、フナっこたちがうようよしているから、ちっとも虫のごちそうにありつけやしないじゃないか! あのフナっこたちをここから追い出してしまおう」
そう思ったカジカは、そのやっつけるチャンスを待っいてたんだよ。

川の水がちょっと温かくなってきたお昼過ぎの事、お腹がいっぱいになって、とろんとろんとお昼寝中のフナたちのお尻を、いきなりガブリっとかじったんだよ。フナたちは皆びっくりして、大騒ぎになっちゃったよ。フナたちはね、悲鳴を上げて、尻尾を振り回したり、尻尾でカジカたちを叩いたりと、大変な戦いになってしまったんだよ。カジカたちが勝ちそうになって、フナたちが負けそうになってくると、その応援にどじょうも、なまずも助けに来てくれたんだけど、ますます戦いが激しくなるばかりでね。でもね、いつも虫とか食べていたカジカたちは、かじることが上手だったから、だんだんにフナやドジョウたちは、やっつけられて、川の下流の方へと山から遠い方へとおいやられてしまったんだって。とうとうカジカたちは、上流側からフナやドジョウたちを追い出すことができたんだよ。

今日はここまで、続きはまた明日。

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