24 腎臓:おしっこを作る
腎臓(じんぞう)は脊椎動物が保持する泌尿器系の器官である。血液からの老廃物や余分な水分の濾過及び排出を行って尿を生成する。原尿のうち有効成分(全てのグルコース、95%の水および無機塩類)は腎細管を経由し、残り4%の水・無機塩類は集合管を経由し、再吸収されて腎静脈に戻って、再び身体の血流にのる。残った成分(尿、1日約1.5リットル程度)は腎細管を経て腎盂に集まり、尿管を経由して膀胱に排出される。水やナトリウムの再吸収量の調節は、遠位尿細管や集合管で行われる。これには抗利尿ホルモン(ADH)やアルドステロン、ANPなどのホルモンが関与する。上記の結果として、体液の恒常性の維持を確保している。
それ以外の役割を以下に記す。
1. 老廃物を体から排出する。
2. 血圧を調節する。
3. 血液をつくる司令官である。
4. 体液量・イオンバランスを調節する。
5. 強い骨をつくる。
腎臓は発生的には中胚葉の腎節に起源を持つ。脊椎の側面の位置に体を前後に貫く構造であり、大きく前方から前腎・中腎・後腎に分けられる。前腎は発生初期に退化し、魚類、両生類では中腎が機能を持っている。それ以上の脊椎動物では後腎のみが発達する。
脊椎動物全体においては、腎臓には前腎や中腎・後腎の三つがある。発生においては前者から後者へと順に形成される。後のものができるとそれに応じて前のものは退化する。その構造もそれぞれに異なっている。発生上は神経胚期に分化する中胚葉の腎節に由来する。体の背面両側に体軸に沿って伸びる部分から分化する。
その最前方から分化するのが前腎である。前腎では個々には腎細管の先端が体腔に向かってラッパ状に開いたものが並んでいる。その口部には繊毛がある。このような構造は無脊椎動物のいわゆる腎管とほぼ同じものである。しかし、ここに大動脈から分枝した前腎動脈が入り込んで糸球体を形成する場合もある。いずれにせよそれらの管は集まって前腎小管へと続き、それが総排出腔につながる。無顎類の腎臓は生涯この形である。
中腎は前腎と同じく腎管のような構造を持つ部分がある。同時にマルピーギ小体を形成する。よく発達したものでは次第に体腔に口を開く部分はなくなってマルピーギ小体のみが活躍するようになる。それらから続く管は次第に集まって中腎小管へと続く。これは前腎小管に由来するものである。中腎は一般魚類や両生類が成体まで保持している。
後腎は腎管のように体腔に開いた口を一切持っていない。多数のマルピーギ小体によって血液中の水分などのみを漉し取る構造となっている。それらから続く腎細管は集まって独自の輸尿管によってこれを総排出腔へと導く。爬虫類以上のいわゆる羊膜類の成体の腎臓はすべてこのタイプである。この類では前腎・中腎は発生の段階で出現するがすぐに退化する。
ヒトの腎臓はソラマメの種子の様な形をしている。後腹壁の壁側腹膜より後方に位置(後腹膜臓器)し、横隔膜の下に一対ある。身体の右側には肝臓があるため、第11胸椎から第3腰椎位で肝臓によって圧迫される。そのため、右腎は左腎よりやや低い位置にある。重さは約150gで、縦約12cm、幅約6cm、厚さ約3cm程度である。健康ならば、移植などで片方を失っても機能上問題は無い。 中央内側の部分はくぼんでおり、「腎門」と呼ばれる。ここには腎盂(腎盤)、腎動脈、腎静脈、輸尿管、リンパ管などが集まる。また、左右の腎臓の間に平行して左側に大動脈、右側に大静脈が走行している。なお、副腎が腎臓の上部に位置している。
組織学的には、左右の腎臓それぞれ約100~120万個のネフロンがあり、ネフロンは糸球体と尿細管(腎細管)から構成されている。さらに腎小体は糸球体およびボーマン嚢、尿細管は近位尿細管、ヘンレループおよび遠位尿細管からそれぞれ構成されている。
腎臓に関することわざは発見できなかったが、慣用句を一つ紹介する。
*肝腎肝文(かんじんかんもん)
非常に重要なこと。「肝腎」は肝臓と腎臓のことで、人の身体で大切な部分ということから、重要なことのたとえである。
*食品なんでも相談所 横山技術士事務所
*3頁目 発酵食品もの知り講座
*4頁目 大豆総合研究所
*技術士受験指南(農業)目次 技術士受験指南(農業)
*中国ひとり歩記 目次 中国ひとり歩記
*吉祥寺サバイバル 目次 吉祥寺サバイバル
*働くヒト器官 目次 働くヒト器官
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