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吉祥寺サバイバル Ⅱ 対数期(log phase)Ⅱ-6 引越し 20XY年4月

 日高は目を覚ました。悪夢を観ていたようだ。昨日は死体の処理をしていたが、慣れるものではない。習慣でTVを付けようとしたが、つかないことに気が付いた。顔を洗おうとしたが、水道も出なくなっていた。引越し先は多分大丈夫だろうが、やらなくてはならないことが増えた。

 シロとともに朝食を済ました。向こうに持っていくものは最低限にしておこう。衣類、使い慣れた枕、食器、パソコン、CDである。それに冷蔵庫に入っている痛み易い食品も移さねばならない。缶詰など常温で大丈夫なものは後回しである。これらをバイクにつないだリヤカーに載せた。近くに満足できる新居が見つけられたことは幸運だった。これらを運び入れ、当面の引越し作業は完了である。

ライトバン


 これからの作業を考えると、どうしてもやや大きな荷物が運べるライトバンか小型トラックが欲しい。リヤカーを外して駅周辺を探したところ、中古車売場に適当なものを発見した。キーもついており、ガソリンも満タンだった。 

冷凍庫

この車をヨドバシカメラの前に駐車した。ほしいのは未使用の灯油タンクと冷凍庫である。前者は簡単に見つけられた。とりあえず2本を確保した。まだ、灯油ポンプも一緒に入手した。冷凍庫は中型のものを選択した。日高が一人で運ばなくてはならないからである。これらを積んで玉川上水に向かった。足場の良いところで、灯油缶に水を汲んだ。

 これらを新居に運んだ。これで当面の食料と水を確保できた。西友や外食店のバックヤードにある痛み易い食料を集めて、冷凍庫に収める必要がある。冷凍庫のスイッチを入れた後、外食店などのバックヤードで食料を調達し、冷凍庫を満杯にした。

 新居のインターネットは生きていた。DIY店を探したが、駅周辺には存在しなかった。三鷹まで検索範囲を広げると、「コーナン」という店が見つかった。近くに「コーナンプロ」という店もある。入手したいのはガソリンで動く発電機とポンプである。また、今後の対応として、ドラム缶を見つけて雨水を貯められるようにしたい。

 夕方になっていたので、コーナンに行くのは翌日にした。風呂場には水が貼ってあったので、追い炊きをした。何日ぶりの風呂だろう。シロと一緒に夕食を取り、ビールを飲んだ。疲れていたので、寝ることにした。ベッドにはエアーウィーブが敷いてあり、快適だ。いつもの枕もある。今夜は悪夢を観ずに済むだろう。

 翌朝、コーナンプロに向けて出発した。ライトバンのGPSは使用可能だったので、電話番号を入力した。道路は数ケ所が事故車で通れなかったが、迂回してもGPSが新しいルートを教えてくれた。

発電機


 コーナンプロは業務用の資材を扱っていた。1階は材木や塩ビパイプが置かれていた。2階に上がると、目的の発電機を発見した。ガソリンで動くことを確認して車に積み込んだ。ポンプは見つからなかったが、高圧洗浄機があった。これをポンプの代わりに使用できるだろう。

洗浄機


 すぐ近くにあるコーナンにも立ち寄った。こちらは一般消費者に対応している。多くの野菜苗は乾燥の為、枯れていたが、大丈夫なトマト苗を数株入手できた。種子も豊富に揃っていたので、トマト、ピーマン、ナス、カボチャ、ネギ、トウモロコシなどを選択した。新居の庭はかなり広いので、栽培できるだろう。近くに畑に適した場所を見つければ、野菜の供給は問題なくなる。畑を作るには鍬や鋤が必要だ。これらや野菜の支柱、肥料や石灰もこの店で入手できた。

野菜


 野菜には水をやる必要がある。コーナンプロに戻って、発電機と高圧洗浄機をもう1組追加した。帰路の途中、萬助橋で1組を下ろした。車からガソリンを抜き取り、発電機のタンクに移し、起動した。洗浄機の吸水部を玉川上水に入れスイッチを入れた。勢いよく水を噴出した。これで、水汲み作業はずいぶん楽になる。
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