それは愛です

父親から、〇〇を勉強しなさいと唐突に連絡が来た。

父親はいつもそうだ。
娘にとってプラスになるだろうと思いついたことを連絡せずにはいられない。少し前は翻訳家なんて良いんじゃない?と連絡がきていた。

私は働いている。今の仕事に就いて5年ばかり、やりがいなんて特にないけど、他にやりたいことも思い浮かばないから生活の為に働いている。

〇〇、は私の仕事に近いことだ。父親は知ってか知らずか思いついたことを唐突に勧めてくる。大体は私の興味に掛からないので、最近は丁寧に断る。

それは愛だ、と思う。娘の事を心配して、一生食っていける仕事をしろと常々言う。私はちゃんと働いているのに。父親自身が納得いかないだけなのだ、結局は。

大学生の時は、公務員になれとしつこくしつこくしつこく言われた。1%も興味がない事を、一生の仕事には出来ない。

この部分だけ切り取ると、娘に過干渉してくる毒親のようだけど、実際はそうではない。彼は彼なりに私を心配している。娘だから、余計気にかける。それは愛なんだ。

私は私の人生を生きる。親であろうと指図させやしない。

そして今、もしかしたら父親の言う通りに生きていたらもう少しお金が稼げていたかななんて思ったりするけど、絶対どこかでぶち切れていただろうから、別の世界線の事は考えてもしょうがない。

何より自分の稼ぎでちゃんと生活してる。
父親が生きている限り、公務員にならなかった私への心配が続くと思うと胸の辺りが苦しいけど、それはもう彼なりの愛なのだと理解するしかない。

その愛は受け取れない。

父親のことは尊敬しているし大好きだけど、その愛は受け取れない。
重苦しい、鬱陶しい、ほっておいてほしい。私はもう成人して何年も経っているんだから。
でも私は娘だから。


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