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さよならもはじまる
あなたに あけてもらいたかった ピアスの穴 きもちのわるい じぶんのおもいに ぞっとする
あなたと見た秋桜を どうして覚えていないのだろう あなたの肩越しに見た 白い壁を這う毛虫の…
あの夏を こじらせている
ふたたびの執行猶予 何度も 何度も 何度も追い焚きされた感情 再加熱を繰り返し 情は澱み続…
前方に赤信号 フロントガラスにカミキリムシ 赤い光に照らされながら カミキリムシの裏側をな…
一番上のボタンまで キチンと とめられた 君のカッターシャツ 几帳面さが心地よい 夏が まだ 暑いうち その一番上のボタン 私が必ず はずしてみせる
去年の夏に もらった 鈴虫 秋のおわりに 卵を産んで 床の間に そっと 寝かされていた 春の…
私は変わらない この場所も同じ まちの様子は変わっても 私がきちんと伝えてあげる あたらし…
あなたのことが恋しいのか あなたと過ごしたあの日々を 懐かしく思っているだけなのか いま…
たまたま 限界を 超えること なく 通り過ぎて きた だけ
空に 星は 見えません 雨は 降って いないから 知らない 見えない ひみつの場所で ふたりは…
間にウケる
土砂降りの中 ふたり 自転車を漕いだ相手は あなただったろうか あれから何度も雨に濡れて その度に洗い流されてしまったから もう 何も残っていない ずぶ濡れになる私の姿を 何度も何度も振り返りながら 気にして速度を合わせ走っていたのは あなただったろうか ひどい土砂降りが今も降っているので 気配さえ洗い流されてしまって 何も思い出せない 最近では 本当に 何も感じられなくなってしまって 死んでしまった人のことを話すのは やめましょう と 私は言う