借金作った自分を習慣の力で変える31歳フリーター④
Sさんの熱心な説得もあり、辞めずに赤羽店へ異動することになった。
そこで迎えた初めての接客では、隣の席にSさんが座り、僕の営業の様子をじっと聞いていた。誰かに聞かれていると思うと余計に緊張してしまい、自分ではうまく話せなかった…お客さんが帰った後、すぐにSさんに裏へ呼ばれ、「怒られるのかな」と思っていたところ、「いい営業してるね!言葉遣いも丁寧だし、柔らかい雰囲気がすごくいいよ!」と意外にも褒めらた。営業に全く自信がなかった僕にとっては、予想外の嬉しい言葉だったのを鮮明に覚えている。これをきっかけに少しずつ自信がつき、成績も伸び始めた。
さらに、Sさんは毎週1回「S塾」として、不動産の基礎から実践までを僕たちにしっかり教えてくれました。営業スキルだけでなく、不動産の知識も深まり、ついに営業人生初の月間1位を獲得することができました。(月間とはいえ、当時の僕にはそれでも大きな自信となりました。)
赤羽店への異動から1年が経とうとした頃、Sさんが僕ともう1人のメンバーを食事に誘ってくれました。いつも通りの気軽な食事かと思っていたら、「お前たち2人を主任に昇格させる」という話がありました。少しずつ自信もついてきたが、まさか役職をもらえるとは思っておらず、「僕にはまだ早いと思います」と正直な気持ちをそのまま伝えました。(実は、以前お世話になったIさんも、僕の昇格はまだ早いと考えていたと聞いていたのです。)
それでもSさんは「俺が決めたことだから、周りが何を言おうと関係ない。お前たちは昇格だ。そして新人も2人入れるから、しっかり先輩としての役割を果たせ」と強い口調で励ましてくれました。この言葉に、昇格の喜びよりも「反対したIさんを見返してやる!」という気持ちが強く湧いてきました。どんな先輩になりたいか考えたときに、最初に浮かんだのは「今まで出会ってきた嫌な先輩にはならないこと」でした。そして「かっこいい先輩になりたい」と強く思いました。
「かっこいい先輩ってどんな人だろう?」と自問した結果、まず始めたのは読書でした。この読書が、今の自分の基盤となる。