クリエイティブラーニングの対談メモ(2019年6月8日)

2019年6月8日(ポートランドは6月7日夜)行われた、『クリエイティブ・ラーニング』について市川力さんと、井庭崇さんがWebinar上で対談するイベントを自宅から聞きました。

私はクリエイティブ・ラーニングの読書感想文の途中経過をnoteに書いて、その後完成させていないのですが、今回webinarに参加できて良かったので、いくつか面白かった点を紹介します。
連休中に京都の探究堂さんで行われた、ジェネレーター養成講座に行かれず悔しかった私としてはジェネレーターの話がたっぷり聴けてとても良かったです。

注:下記は、トークの中で出てきたトピックを私なりに分類したもので、時系列順にはなっていません。それぞれの行は、できるだけトークの中で出てきた表現に準ずる形で書くよう心がけました。()は私の解釈で付け加えたところです。


ジェネレーターとは
教室にジェネレーターの人がいて、周りの人と一緒に、作ったり知ったりしながら作用する存在
人は誰しもジェネレーターの要素をもっていて、突然何かが覚醒する感じでジェネレーターになる
Teacher / Fascilitatorとの違い
ジェネレーター入門:対象と一体化できる力を持っていることに気づくこと
相手の気持ちをわかる、ではない。対象に一体化できることができてしまう本質を探る、ではなく見えてくる
プラグマティックに考えると、その本質が意外と的をいている
ジェネレーターは疲れない
generatorが全てをcontrolすることではない。「つくる」ということがあるから。
「歩く瞑想」についても、本質的。歩いていくうちに、見えていくものを探る(コメント:安冨歩さんの生きる技法に書いてある、夢の実現のことを思い出した。目的ではなく過程というか。)
仮説:シャーマンとジェネレーターは感じ取る部分があるという共通点がある?
ジェネレーターはどのように生まれてきたか、教育における文脈:自分も一緒に参加する、つくるのがジェネレーター。パターンに入っていた、Generative participantが短く変化して、いつしかgeneratorと呼ばれるようになった。

現象学について
相手が言ったから取り入れる、質的ではなく、自分が共感したら、取り入れるアプローチについて
認知症のパターンラーニングは自分の中で大きかった。それは、(相手との関わりにおいて)自分がやっていない(認知症ではないこと)に対して書くことができたから。

川喜田二郎
川喜田二郎も、つくっているものと一体化するといっている。
人間は木とか石の気持ちになれるか。これをデータに対してやったのがKJ法川喜田は、やがて世界を愛することができるようになるといっている
子どもと接する上で、何かを(あるいは世界を)愛することができる人の周りにいると、いい影響があると思う
点メモ
Connecting dots
議論に人がついていく
「これは残しておかなければならない、という意味でかいておく」メタメタマップ
一仕事する、ということ
客体をつくる過程で主体も脱皮変容していく。プロジェクトの前後で変わる自分

クリストファー・アレグザンダー
Egoless
境界ではなく、Centorで話す
池は周りの石や、土手を含むか

創造的行為について
創造は、植物を育てるメタファー
相手の学力を育てたい、ではなく自分が作りたい、という意志があるのが決定的な違い
関心は、人に限らない
自分の外側に出ながら、何がつかめるのだろう
知りたい、作りたい、という欲求で動かされる人
無我の創造 <=> 作為の創造
キャラや人物だけでなく、作曲とかもそう
アレグザンダーも、”Egoless”と言っている
一仕事=>やりがい=>いきがいにつながり、つくられていることに希望がもてる。そしてより大きなものにつながっている感覚。それは、自然にふれていると落ち着く感覚とも通じるところがある
無我の創造に立ち会う
つくる、というのはものにこだわらず、創造的行為であれば良い。自分で考えながら歩けば山歩きだってそう

デューイ
Interactionといっていたのが、後期は、Transaction
自他がない状態を想定?
経験こそが将来の準備
創造的なことがやりたければ、創造的なことをいまやりなさい、という話
経験と体験の違い。体験は一過性
経験は続ける、習慣になることがすごく重要
(経験の中で、)実体験は一部分にすぎない
クリエイティブラーニングは、一部の余裕のある学校や、プラスアルファとしてやるのではなく、課題として必要

市川さんが10年間の末、到達したこと
年間6つのプロジェクトを6年間
を10年間
到達したのが、
なりきることと、歩くこと
作りながら考える。だから見えてくるし、わかる

ふるさとについて
プロジェクトをおこなったことが「ふるさと」になる子どもの頃にしたところがふるさとなのは、子ども時代が創造的だから

子どもたちとの対話の意味
禅問答
メタな対話の欧州
水平ではなく垂直
相手の理解が目的ではない
TCSは、対話そのものではなく相手が見たいものをすくいながら

パターンと構造主義の類似性
パターンがあると構成がしやすくなる
枠にはめるのではなくて
プレゼンテーションは、枠にはめているという指摘もあるが、そんなことを言っても仕方ない。社会的な文脈のなかでしようとおもってすること
井庭研のパターン・ランゲージは、建築の場合と違い、行為の構造だ

発見について
発見とは、パッとお風呂に入っているときに閃くものというよりは、時間のかかる創造。ずっと取り組んでいるから
それ自身はダメだけど、次につながる発見もある
複雑性と発見
10年前の金子邦彦の複雑性の研究について
発見がだれでもできるなら、自分の意味がないのではないか、という悩みをエッセイで書いている
発見は、カオスにひそんでいたものを掘り起こした、もともとあったものを発見したにすぎない
光のあてかたが、他の人にはできなかったもの、と思えば良い
思っていたことと違うことがおきた、それを何だろうと思う。

その他出てきた人物・キーワード等
ティク・ナット・ハン
ソーシャルだけでなく、クリエイティブ、ナチュラル(にも力を入れる)
植物にとって、土や太陽は必要だが、土と太陽は植物ではない
ダ・ヴィンチのスフマートという技法
「ぐう」の話(偶発、一隅、寓話、愚、遭遇)


感想
話題が限りなく発散しながらも、一つのトピックの周りにふわふわと出てくるキーワードや概念たちがそれぞれ興味深い対談でした。特に、自分の中で「自然にふれていると落ち着く感覚」をもやもや考えているところだったので、そういう考え方もあるのか、と自分なりの解釈・発見がたくさんあった時間となりました。
そのうち録画が公開されるようなので、みなさんも、公開されたら一度見てみることをおすすめします。


参考文献
言及のあった書籍を一部貼っておきます。

人間科学におけるエヴィデンスとは何か 小林隆児 https://www.amazon.co.jp/dp/4788514494/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_ALp.CbSCGBCVB

デューイについて
デューイの習慣論 谷口 忠顕 https://www.amazon.co.jp/dp/4873781310/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_Se1-CbHDNM6GY
デューイ=ミード著作集3人間性と行為 J. デューイ https://www.amazon.co.jp/dp/4822601331/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_cg1-Cb2C8NR68

レオナルド・ダ・ヴィンチについて
今年は没後500年だとか
レオナルド・ダ・ヴィンチ 上 Walter Isaacson https://www.amazon.co.jp/dp/4163909990/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_nj1-CbFWY3T98 
レオナルド・ダ・ヴィンチ 絵画の書 レオナルド ダ・ヴィンチ https://www.amazon.co.jp/dp/4000256637/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_3Cp.CbQ63ZQ55

市川さんから紹介のあった本たち
これらの本を、逗子や葉山の海岸を歩くのに生かすそうです。
失われた、自然を読む力 トリスタン・グーリー https://www.amazon.co.jp/dp/4909355081/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_Y01-CbP3Y6H4X 
ライフ・オブ・ラインズ―線の生態人類学 ティム・インゴルド https://www.amazon.co.jp/dp/4845916266/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_B41-Cb7V1SZVY
ウォークス 歩くことの精神史 レベッカ ソルニット https://www.amazon.co.jp/dp/486528138X/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_941-CbHV9Q7S6

他には川喜田二郎全集もおすすめされていました




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