ツェランの詩「死のフーガ」―夜明けの黒いミルク
パウル・ツェラン(Paul Celan、1920-1970)はルーマニア生まれのドイツ系ユダヤ人だ。
彼が書いた詩「死のフーガ(Todesfuge)」はおそらく第2次大戦後のドイツでもっとも有名な詩だろう。
恐ろしい詩だ。一度読むと、「夜明けの黒いミルク」というフレーズが頭にこびりついて離れなくなる。
ここではこの詩を訳し、解釈してみる。
■ヨジロー訳■語句の説明フーガ――多声音楽の様式の一つ。ある声部の主題で始まり、これに第2声部が模倣的に応答する。先行主題は追いつ