どうなる韓国大統領選挙、どう出る金正恩政権 レジュメです
12月9日 東京新聞 五味洋治
●結局どちらが勝つのか
▶韓国大統領選のジンクス
投票100日前、世論調査でリードしていた候補が勝つ(盧武鉉除く)
保守、進歩2回ずつ勝つ、今回は進歩?
日本の選挙との違い、与野党で対照的な政策。すでに激しい批判合戦。分かりやすく、参加しやすい選挙。ユーチューブなどで政治イベントを生中継
有力候補やその周辺にスキャンダルや捜査、与野党とも党内の内紛。双方の好感度が低い。
双方に失言相次ぐ。支持率は李在明が追い上げの気配、逆転の可能性も
▶現段階では結果が読めない
▶候補者が持つストーリーの争い
戦後の韓国で大統領に選ばれた12人の中で「職業政治家」としての経歴を築いて大統領になったのは、金泳三と金大中の2人だけ。独立運動家、軍人、公務員、ビジネスパーソン、大統領の娘、そして人権弁護士。行政経験や政治的業績は当選に決定的な影響を与えない。
李在明 「土のスプーン」が約束する正義の実現
尹錫悦 検事一筋、ジャンヌ・ダルクが目指す政権交代
▶選挙戦から見える韓国の現状、矛盾、課題、未来 各候補の主張は対照的
不動産対策、就職、受験競争、少子高齢化、世代対立、格差、分断
▶対外関係の展望 日韓、南北、米韓、米中
大統領選は国民を2分、日本との関係改善は容易ではない
●北朝鮮はどう出るか
▶対北朝鮮政策は真逆 北朝鮮側は進歩政権の継続望む?
李は終戦宣言推進 韓国が主導する
「終戦宣言は、非核化交渉の出口ではなく入口として十分な意味がある」
「バイデン米大統領や金正恩総書記に会って問題を解決していく」
中国政府とも共通?
尹は非核化優先、日米韓の同盟関係重視
「政治的宣言である終戦宣言だけ先にすれば、停戦管理体系や国連軍司令部が無力化しやすく、国内的には在韓米軍兵力削減世論として作用する可能性が高い」
日米政府の見解に近い
●北朝鮮の現状と大統領選への関与
▶金正恩時代10周年(2011年12月18日)迎える
今年1月の党大会で定めた目標へ向け成果が出ているとして「全体的に今年は勝利の年だ」「国家経済が安定的に管理され、党が重視する農業、建設部門で大きな成果を上げた」「巨大な闘争をしなければならない」(金正日総書記、12月1日朝鮮労働党政治局会議)
▶主な動き
12年〜16年 金正日時代から継承してきた各種プロジェクト(核、ミサイル、ダム、平壌市内の建設事業)が完成。朝鮮労働党第7回大会(2016年5月6日〜9日)国家経済発展5カ年戦略、経済建設の遅れを認める。2016年ミサイル23発発射(前年は2回)、16~17年に核実験3回
2017年〜21年 「経済建設と核武力建設の並進路線」→経済建設へ総力を集中(2017年4月20日)朝鮮労働党中央委員会第7期第3回総会、「国家核武力の完成」(2017年11月29日政府声明)。非核化へ意欲示すが、制裁強化、米朝首脳会談の失敗(2018~19年)。開城工団南北連絡事務所爆破(2020年6月16日)、5カ年戦略「ほぼ全ての部門で掲げた目標が全く達成できなかった」と認める。先端武器の開発を明示(2021年1月8回党大会)、金正恩氏が痩せて登場
2020年1月30日新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応し「特別防疫体制」への移行 完全鎖国体制2年目。国境封鎖は当面継続か?
▶北朝鮮の動き
終戦宣言をめぐり、米国が対話に応じる(年末以降?)
新年の演説(2020年1月は国民への書簡形式)
北京2022冬季オリンピック(2022年2月4〜20日)で訪中、首脳会談の可能性
金正恩総書記のソウル訪問(韓国大統領選前)
サイバー攻撃で選挙を混乱させる(韓国国家情報院の報告)
ICBM発射 北京五輪中?
韓国大統領選の行方、コロナの状況に左右される可能性
最近の日韓関係
歴史問題により戦後最悪とも言われる。
2015年 日韓が慰安婦合意 文在寅政権「重大な欠陥」として財団を解散
2018年2月 平昌五輪には安倍晋三首相が訪韓
2018年10月 新日鉄住金(現・日本製鉄)への賠償命令確定
2019年夏 日本政府は韓国に対する輸出管理の厳格化
日本への依存度の高いフッ化ポリイミド、レジスト(感光剤)、フッ化水素3品目の輸出優遇を解除、個別契約後に許可
2021年1月 日本政府に対して元慰安婦らへの賠償金支払い命じる
2021年1月 大統領記者会見 慰安婦合意は「政府間の正式合意」
「強制執行で資産が現金化されるのは好ましくない」
2021年4月 ソウル地裁日本政府への損害賠償を求めた元慰安婦の訴え却下
6月 元徴用工の訴訟も原告の訴え退ける
2021年6月 主要七カ国首脳会議(G7サミット) 議長国の招待で文在寅大統領訪英 菅首相とあいさつ交わす 韓国側が望むも首脳会談実現せず
2021年7月 五輪訪問を見送る 同じタイミングで、日本の外交官が不適切発言
大統領府は「十分な成果が見込めない」。大統領の訪日を見送り
9月27日
元朝鮮女子勤労挺身隊の女性が三菱重工業を相手取った訴訟で日本企業の資産に売却命令。2018年11月に賠償命令が確定し、原告は同社のロゴマークを含む商標権2件と特許権6件を差し押さえ。
大田地裁はこのうち商標権と特許権を各2件ずつ売却し、1人あたり2億973万ウォン(約2000万円)を確保するよう原告に命じた。大法院(最高裁)が命じた賠償金と遅延損害金などを含む。
10月 岸田文雄首相が文在寅大統領と電話 「適切な措置」を取るように要求
11月16日 韓国の警察庁長官が島根県・竹島に上陸。日本は抗議し、17日に 米ワシントンで開いた日米韓の次官級協議後の共同記者会見に応じず。
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