「安倍話法」引き継がないで


 首相交代は、多少なりとも新鮮な気持ちをもたらすものだが、今回は違う。菅義偉首相が、前任の安倍晋三氏の「後継」を宣言しているからだ。
 私が安倍氏に関して記憶に残っているのは、記者会見や国会答弁での言葉使いだ。
 歯切れがよく、政策実行を次々に約束するが、質問者には言い返すことも遠慮しない。
 前任の小泉純一郎元首相と比べ、安倍話法の特徴を分析した、「言語学者が政治家を丸裸にする」(東照二著)という本が興味深い。
 著者の統計によれば、安倍氏はそれまでの首相がほとんど使わなかった「~します」を多用、政策にカタカナ語をおりまぜて新しさを生み出した。国会答弁では「~でございます」という謙譲語を頻用、自分の個人的なことはほとんど語らなかった。
 新しい政策を進めてくれると思わせて、国民とは腹を割った対話をしなかったということだ。菅首相は、こんな部分は引き継がないで、国民との意思疎通に努めてほしい。

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