引用した最初の文が、アドルノのマーラー論を始めとして、これまた至る所で引用されるマーラーの交響曲についての言葉である。 これはマーラーが第3交響曲について語っている文脈で出てきた言葉であるが、まさに第3交響曲こそ、この定義に相応しい作品であることは 衆目の一致するところだろう。ところで私は、それに続く言葉もまた、とても重要だと思う。まさに内容が形式を産み出す点にこそ、マーラーの音楽の 比類ない力が在るのだと感じているからであり、マーラーは終生、ここでの発言の最後の部分に忠実であり続けたように思われるからである。
なお、上記の原書のページは私の所蔵している1923年版におけるものであり、邦訳のベースとなっている新版(本稿執筆時点ではこちらは未見:後に入手して所蔵)のそれではない。
(2007.5.12, 2024.7.5 noteにて公開)