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山崎与次兵衛アーカイブ:作曲家論集

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これまでWebページ、Blog記事として公開してきた、クラシック・現代音楽の作曲家の人と作品についての文章をアーカイブ。
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#マリ・エル共和国

アンドレイ・エシュパイ

 私のエシュパイとの関りは、専ら彼がフィン・ウゴル系の民族の一つであるマリ人の父を持ち、父の研究対象であったマリの民族音楽のイディオムに深く根差した作品を生み出した作曲家であるという点に拠るものである。例えば彼の第3交響曲は父親への追憶として書かれた作品だが、一聴して明確に聴き取ることができるように、その音楽は所謂「ロシア的」なものとは一線を画しており、マリの民族音楽のイディオムの影響は明確であろう。この点に関して、例えばかつてWebに存在したOnno van Rijenの