ジェルジ・リゲティ
リゲティの音楽は、恰も時間性を放棄して別の次元を探求しているかのように見えるかも知れない。だがこの言い方は正確さを欠いているだろう。まずもって音楽が時間性そのものを放棄することはできない(瞬間の美学も、永遠の美学も時間性自体の放棄ではない)し、リゲティの音楽の時間性は、一言でいえば時間の結晶化、時間のオブジェ化とでも形容するのが適切だろうから。けれどもそれが、前の世代までの音楽と、時間性の探求において異なる方向を目指していて、従来の意味における時間性を放棄しているということは