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自分の作品=子ども?

「自分の作品って、やっぱり子どもみたいなものなんですか?」

そんなことを何度か訊かれたことがある。そうなのかもしれないと思ったけど、子どもを持ってみたら全然違った。子どもの方がうんとかわいかった。

子どもは独立した一人の人だ。だけど、私の絵はまだ私の一部でしかないんだろう。もちろん嫌いじゃないけど、子どものように愛しているかといえば答えに詰まる。注文を受けて描いた絵の方が好きなことが多いのは、やはり少し距離があるからかもしれない。

ときどき自分から出たことも忘れてしまう絵が描けるときがある。白い紙だったところに、いつの間にか違う世界が広がっている。そのときは、次の色も線も悩むことがなく、時間も忘れて描いている。ライブでいい音楽を聴いて、踊っているときに似ている。

「ああ!」という感嘆の言葉に、詩は敵わない、みたいなことを書いていたのは中原中也だったっけ?

ああ、自分を忘れる絵を描きたいなぁ。

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