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居酒屋 2018/07/28

この店を居酒屋という括りで呼んでしまっていいものか否か迷ってしまうくらいにクオリティが高いのであるが店主が標榜するに店名が「酒や肴よしむら」とあるし、周りの方々の認識も居酒屋であるから居酒屋でいいのだと思う。

大体毎週土曜日はどこかで独りで呑んでいる。
あら、寂しいのね?ということはなく、子供が生まれて家族が増えた頃からなんとなく土曜日の仕事後の愉しみのルーティンとなった。独りでの時間が持てると自分自身のこともなんとなく考え馳せることができるし、逆に今のその場にいない家族のことや他人のことを冷静に客観的に俯瞰的に考え思考に落とし込むこともできるし、その呑みの場で全く知らない他の客や店の主人とたまたま会話を紡げる機会が得られればいつもとは全く違う思考との出会いもあったりし、そういうことが新鮮で自分にその思考が合うか否かはまた別の問題だけれども結果はどうあれ適度な気分転換になることは確かである。
ややこしく書き立てたけれども、要は酒場という場所は勉強になる場であるということです。呑みながら勉強できるなんて世の中で最高の場所だと思います。
最近は母親の介護案件もあって自由度が限定されてきているので土曜日のこの愉しみが機会的に半減の傾向にありますが、それなりに愉しんでいます。

居酒屋だといっても何らかの特色や店主の持ち味がないとなかなか足が向きません。というのも毎週土曜日だけの呑みの場であるとすれば機会的に年間52回程のことに限定されるので貴重になってくるという理由からです。
もう一つの理由が僕自身がそれなりに自分自身である程度の料理を自宅で作れてしまうのでそのクオリティを凌駕する料理が食べれるか否か、もしくは特殊な技法や調理器具が必要になる料理が外食に求めるベースなるということです。解りやすく例を挙げるとナポリのピッツァ窯で焼く本格的ナポリピッツァであったりとか、手打ちの蕎麦、江戸前の鮨、天麩羅、炭火焼き、スペインの本格薪窯焼き料理、特殊な発酵系食品に長けた調理、などが対象になるということです。自宅でやろうと思えば努力すれば調理可能かもしれませんがそこまで苦労や苦心して自宅で食べなければならないという強迫観念は皆無ですし、そういう職人技が代々と紡がれていく為には絶対的に優良な消費者が必要になりますので割り切って愉しんでしまうのが最善だとも思っています。

そういうこの店の長けた特色とは丁寧に炭火で焼かれる逸品たちと庄内野菜、そして暑い夏にも極上の燗酒を愉しめるところです。
主人が調理を担当し、女将がお酒の提供をしてくださる完全分業制です。
すぐに提供可能な酒肴が数品、強肴が仕入れによって左右されますが4〜5種類、炭火焼きされるものが魚は生穴子を含めて4〜5種と牛肉や雉肉に庄内野菜という品目になり、酒のアテが数種類、珍味であるこのこやへしこ、焼き海苔などという渋いラインアップで最後にご飯や麺ものが2〜3種類というメニュー構成になっている。
この日に頂いたのは、

山形だだちゃ豆塩茹で(付出し)
蛸山椒土佐酢漬け
造り盛り/山形西バイ貝、宮城かつお、愛媛あこう
長崎・生穴子白焼き(炭火焼き)
千葉・金目鯛腹身炭火焼き
いわしサンド

頂いたお酒は

別嬪 純米吟醸うすにごり酒・出羽の里100%
会津娘 芳醇純米酒一火
春霞 特別純米山田錦仕込み・栗ラベル黄
磐城壽 純米吟醸夢の香(燗)
白鴻 辛口純米酒65黒ラベル2017(燗)
奥能登の白菊 純米吟醸むろか火入れ(燗)

梅雨あとの雨水で育った穴子は身がでっぷりとしてたまらないフォルムを魅せ、同じ時期の蛸も旬で味わいが濃厚である。西バイ貝は初めてだったがバイ貝の一種にしては身がかなり大きく味わいがミル貝ににてミルキーで相当に甘い。
念願の鯖サンドがなくていわしサンドが代役になった宵であるけれども鰯の脂が少々濃厚で鯖のように受け止めるような懐の深さというか余裕がなく旨味の直接的な味わいだったので日本酒のアテというよりもウイスキーでハイボールで軽快に合わせたい印象であった。

次回にも期待したい。

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