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香月恵介@シブヤピクセルアート その2

9月15日(金)​より始まった世界最大級のピクセルアートの祭典「シブヤピクセルアート」
メイン会場で行われている企画展「HAKKO X(発光/発酵展)」に香月恵介が参加しています。

今展では、香月の3600 Colors シリーズと、カーソルシリーズ作品の5点が展示されております。

HAKKO X(発光/発酵展)会場のUNKNOWN HARAJUKU

表参道と明治通りの交差点からすぐのところにHAKKO X(発光/発酵展)会場のUNKNOWN HARAJUKUがあります。古民家の建物で周りにイベントののぼりも立っています。交通アクセスも良く、建物も見つけやすいです。
通りから香月作品も見えます。

HAKKO X(発光/発酵展)
会場:UNKNOWN HARAJUKU
場所:東京都渋谷区神宮前6-5-3
会期:9/15 - 9/24 | 11:00-20:00
※最終日のみ19:00まで
入場:無料

コンピューターやビデオゲームの黎明期に、機能的な制約のもと発展した低解像度の描写、所謂「ドット絵」や「絵文字」が、さまざまなメディアや新たな表現と結びつき変化(=発酵)してきた様子を「ピクセルアート」の現在地として紹介します。また、「ピクセルアート」を単なる表現技法に止まらないアートシーンとして捉え、「アーティスト」の作品や「コミュニティ」の活動に光を当て(=発光)させることで、「ピクセルとは一体何か?」、「ピクセルアートとは一体何か?」を鑑賞者に問いかけます。

UNKNOWN HARAJUKUの会場では、16名のアーティストによる作品が展示されています。(シブヤピクセルアート全体では9会場、70名以上の作家が参加)
紹介文にあるように、立体、平面、映像などさまざまなメディアで表現された作品がずらりと並んでおります。ピクセルアートがお好きな方でなくても楽しめるアート空間になっていました。

今展では、香月の3600 Colors シリーズと、カーソルシリーズ作品の5点が展示されております。

3600 Colors No.2 / 香月恵介 2022年, 53x53cm, パネルにアクリル絵具
3600 Colors No.19 / 香月恵介 2022年, 53x53cm, パネルにアクリル絵具
3600 Colors No.21 / 香月恵介 2022年, 53x53cm, パネルにアクリル絵具
3600 Colors No.26 / 香月恵介 2022年, 53x53cm, パネルにアクリル絵具
cursor WIN95 / 香月恵介 2022年, H.210 x W.120mm, パネルにアクリル絵具, Ed.15


香月のピクセルペインティングについては、本人にインタビューした際の記事がありますので、ぜひご覧ください。


今展に出展の3600Colors 4点をみますと、まずロウソクの絵が2点ありますが、これらはジョルジュ・ド・ラ・トゥールとゲルハルト・リヒターの絵がモチーフになっています。


ピクセル状に配した絵具によってイメージを再現する香月の絵画は、いうなればディスプレイの光の絵画化であり、2人の巨匠がそれぞれに試みた光の絵画化の系譜にあります。

今展には出展しておりませんが、モネの睡蓮(自然の光)をモチーフに描いた作品もあります。時系列順に見ていきますと、流れが分かりやすいかもしれません。

3600 Colors No.2
3600 Colors No.11
3600 Colors No.19


またロウソクの歴史は、紀元前のエジプトが最古といわれており、人類がコントロールし量産した発光体の起源ともいえそうです。
発光と発酵をテーマにした今展にも沿うセレクトだと思いました。

3600 Colors No.21

ピカソの「泣く女」も3600 Colorsのモチーフになっています。
ピカソはブラックとともに20世紀初頭にキュビズム創始しました。モチーフを幾何学的に変化させ構成するという彼らの試みは、ピクセルという単位による図像の構成の、祖とも言えるのではないかと思いました。


3600 Colors No.26 / 香月恵介 2022年, 53x53cm, パネルにアクリル絵具

キュビズムに影響を受け、抽象表現を提唱したのがモンドリアンです。
同じく今展に出展の3600 Colorsのモチーフとなっています。
モンドリアンの確立した幾何学的な形や線、原色のみで描くコンポジションと呼ばれる作風は、今展においてはやはりピクセルの構造を思わせます。


これら4点の3600 Colorsに、カーソル作品(懐かしのWindows95バージョン)がさりげなく配置されています。遊び心がありながらも、デジタル画面の再現が3600 Colorsとの組合せでより強く感じられるようになっています。

香月にとってピクセルとは

私の解釈するピクセルは明滅する色彩である。
明滅している画面は、画像における最小構成要素であるRGBのサブピクセルの組み替えによって人の視覚で知覚できないほど多様な色彩を作り出している。
ピクセルは結果、面的な画に見えるのであって、原理的には光る点である。私はピクセルの輝度を擬似的に絵具の明度に置き換えることで画を再現する。現実に存在する物質としての顔料には混色をしても色数に限界があり(そもそも把握不可能である)、通常256階調の色彩は絵具で60階長まで制限される。それにも関わらず何かしらの画に見えることこそが私達の視覚認知システムの根幹であると言えるだろう。

Shibuya Pixel Art 2023 – 香月恵介

香月恵介
2016​年 東京造形大学大学院 造形研究科美術専攻領域 修了
画像を成り立たせるピクセルと色情報、絵画を成り立たせるメディウムの存在、視ることを可能にする光の存在。適度にバランスされ、現代人が意識することも、疑うこともないそれらの要素をコントロールし、視覚の曖昧さについて問いかけるような作品を制作。


シブヤピクセルアート
HAKKO X(発光/発酵展)

会場:UNKNOWN HARAJUKU
場所:東京都渋谷区神宮前6-5-3
会期:9/15 - 9/24 | 11:00-20:00
※最終日のみ19:00まで
入場:無料
レセプション:9/18(月・祝)16:00-20:00

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