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福祉用具の事故情報、ここで見られます ~テクノエイド協会の知られざる大切なしごと


建築系からの手すり屋ではありつつ、福祉用具の業界もかじっている自分として、昨日気になったニュースがこちら。

 厚生労働省は、電動の車いすや介護ベッドなどの福祉用具を使用中に起きた死傷事故の件数や概要、要因などについて、データベース(DB)を構築し、公表する方針を決めた。自治体や消費者庁などに集まる情報を一元化し、高齢者や介護職員の安全な利用につなげ、メーカーの製品開発にも活用してもらう狙いだ。年内の運用開始を目指す。

 

事故情報、すでにメーカーから消費者庁へのルートでは集めているのであるが、厚労省は全数調査にでもしたいのだろうか。現状では軽微な事故が拾えないと考えているのだろうか。これって、また現場の手間が増えるのでは・・・というネガティブな気持ちにならなくもない。たぶん介護共通基盤のテンプレートに入力してね、みたいなことになるのでは。

それより何より、すでに収集された事故情報が、現場にちゃんとフィードバックされていないことで、事故が再生産されてやしませんか?ということが現場の民としてはたいへん気になる。

でも、実はそういった福祉用具の元締め?である公益財団法人 テクノエイド協会では、そのためのサイトをちゃんと構築している。あまり知られていない、気づかれていないだけで。

福祉用具 ヒヤリハット情報

https://www.techno-aids.or.jp/hiyari/


そして、そこに目立たなくタブが付いている、その事例集が秀逸である。フルカラーでイラスト充実。元締めだけあって、なんせイラストが極めて正確。素晴らしい。

スケール感に形態、手持ち無沙汰からの驚きの表情までリアリティ完璧

この「福祉用具ヒヤリハット事例集」は、福祉用具及び介護ロボットの利用にかかわる「事故及びヒヤリハット情報」を収集し、その要因分析及び加工を行い、介護現場で起こる可能性のある事故や怪我などを未然に防止することを目的としたものです。

https://www.techno-aids.or.jp/hiyari/jirei.html

そして、ちゃんと平成6年3月更新。新しい情報を踏まえている。



こちらもザーッと眺めていると、こんな事があるのか!という発見がちらほらあります。せっかくなので、そんな気付きのあった項目をご紹介。以下の画像、そのサイトからの引用となります。

介護リフト編。

 

脚分離型スリングシートの装着失敗例。これ、脚のところのスリングが2つに分かれているのですが、それを内側で交差させるのがポイントになっております(そうしないとどうなるか、実演したことがあるのですが、利用者さんがかつて高田総統のところにいらっしゃったインリン様のような、あられのない姿になられます。くれぐれもお気をつけあれ)。

でも、そっちに注意していたら外側を車いすのアームサポートを巻き込んでいた、という事例。慌てず騒がず、落ち着いて下げましょうという解説があるのも親切。

 


電動車いす+スロープ編。

 

6輪の電動車いすにおける、ヒヤリ例。このタイプ、利用者さんの体重も含めると軽く100kgを超えます。なので駆動もパワフルなのですが、こうやってスロープごと蹴り出されたら共倒れ必至、本当に怖い。なので下端側の地面に杭を打つなど、何らかの工夫が必要とのアドバイスがあってこれまた親切。

 

介護ベッド編。

 

ベッド柵のロングタイプを2つ並べた、その隙間に頸部が挟まる事例。死亡事故も複数、という深刻なケースです。一昔前のベッドだと、ここの隙間が5cmくらいしかなく、元気な方の首が挟まる寸法ではないのですが、痩せた高齢の方だとこういうことが起こり得る。なので施設などではその間にオプションの対策部品を取り付けて、そこに手や首が落ちないように工夫していたような記憶があります。現行品はどちらかというと、間にきつく挟まらない程度に隙間を空ける設計となっている様子です。

 

このベッド柵周りの事故に関しては、以前受講した福祉用具プランナー研修でも、これでもかというくらいに教わった記憶がありました。確かパラマウントベッドの販社の社長さんが、ガチのケースの話を持っていらっしゃった。

やせ細った高齢者は、介助者が想定するより、細く狭いところに手や首が入ってしまう。それに加えて電動背上げ機能とのコンボで怪我をしたり、最悪の場合はお亡くなりになる。介護ベッドの柵の形状は、すなわち事故の歴史の蓄積である、とおっしゃっていたように思います。

なので、現状のパラマウントベッドの、手すり付きの柵(介助バー)は紆余曲折を経てこんな形状になっております。
この形状進化の話、学生さんのレポート課題に良さげだな、と思ったり。
お読みの皆様も、どんな事故が起きてどう形状が変わっていったか、是非ともご想像いただければ。

時系列で左から右、に進化していたはず

そして、さらに安全を図りたい場合はその、スイング部の継ぎ目や手すり部分の下部の穴をカバーするクッションカバーもあるのでした。

https://www.paramount.co.jp/lineup/3/3000064/354  より引用


介護のプロだけでなく、在宅介護において介護ベッドや車いすなどの用具を、介護保険で借りたり買ったりして使っている皆様におかれましては、このサイトをチラ見だけでもしていただければ、万が一の事故が防げるかも知れません。是非ともご活用いただければ。

「福祉用具ヒヤリハット事例集」
https://www.techno-aids.or.jp/hiyari/jirei.html 




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