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アレを踏み台にしたぁ!?


なんとなくわかる人にはわかるタイトルにしてみました。

あのシーン、左股関節の可動域制限を無視しているようで、白い方の予後が心配です。


さて。


介護保険における住宅改修では、手すりの取り付けなど、6種類の工事が認められているのだが、そのうちのひとつに段差解消というジャンルがある。

これ、ありがたいことに解消の意味が広くとられており、これは物理的に平坦にする、ということを意味しない。
あくまで、利用者さんの移動の妨げになる段差を、より安全に改良する、ということで良い。

たとえば、

ドア下の敷居を取り外して平坦にしたり、
擦り付けスロープを敷居横に固定設置したり、
上がり框の段差に踏み台を取り付けたり、
飛び石の隙間を埋めて平坦に近づけたり、
掃き出し窓の外に階段を固定設置したり、
長い坂道を掃き出し窓から門まで設置したり、 

が認められる。

今日はその三番目、踏み台の話を書く。先に、下駄箱の周りの話を書いたので、これはセットで見て欲しいからである。


玄関の上がり框街の段差は、日本の一戸建て住宅では、どうしても生まれてしまう。建築基準法では、原則として地盤面から1階床高さは45cm上げること、となっているからである(例外はあるが、この空間がないと設備系のメンテナンスで大変な支障が出るので、あえて高さを下げる場合は熟慮してほしい)。

そこに、マンションみたいな低い框をつけようとすると、玄関を出た先で高さを下げていかねばならず、階段が発生する。そこをスロープで処理しようとすると、長いか、勾配が厳しくなり、雪などが降った途端に移動しづらく致命的なことになる。
さらに、敷地の余裕がない家ではその選択肢すらない。狭くてよかった、のかもしれない。

なので、上り框には通常の階段1段分か、場合によっては、それ以上の段差があることが一般的である。ちなみに建築基準法における階段の蹴上(けあげ)の高さの上限は23cmである。

なので、加齢によりこれを一歩で上がれなくなる人が出てくるのは当然とも言える。

というより上りはまだ良いのだ。上がれないだけだから。だが、その筋力だと下りは落ちる。落ちながら降りている。


高齢者になると、動きがゆっくりになる。なので、まだその予備軍の皆さんは、ゆっくりな動きで、周囲を触らずに段差を降りてみれば、その深刻さがわかると思う。
筋トレかな?という負荷で、上側に残る側の足がプルプルしたはずである。

それを避けるためには、プルプルの前にすみやかに着地できるように、2段以上に段を割れば良い。これも介護保険では立派な段差解消となるのだ。

ということで、それを計画して住宅改修費の支給を受ける際には、踏み台を固定することが必要になる。
ところがこれ、ちょっと悩むのだ。なぜなら掃除がしにくい。動かせないからね。

そして何より、専用に作られた木製の台はお高めである。床の凸凹に対応するアジャスター付きとはいえ、ちょっとした台が2万円とかするので、流石にこれは・・・と思わざるを得ない。他の改修部もあるのなら、優先順位を下げたくなる。

そんなときのこちらの切り札が、トップの画像になる。


コンクリートブロック~」(ちなみにわたくし大山のぶ代ボイス世代)


それも、軽くてひ弱なA種ブロックでなく、どっしりした重量C種、それもコーナー役物の2枚使いである。

この見分け方にはコツがある。と言いたいところだが、特にない。

書いてある


ただし、古い在庫だと消えてたりするので、新しそうな在庫を見てね。

また片側がフラットなコーナー役物を使うのは、先端に凹みあると、足先を引っ掛けるリスクが発生するからである。あのブロック特有の3つ穴も側方にまわるので、見た目も大人しくなる。


ちなみに踏み台は、角を踏むとひっくり返る特性がある。それは危険なので、軽い木製の台を置くときなどは、原則固定が必須ということになるのだが、コンクリートブロック(軽量A種を除く)は重めなので、簡単にはそうならない。
なので、縦方向に2枚を並べて置いている。一個の大きさが20×40cmなんで、2個並べれば靴がゆったり一足乗るサイズになるのだ。

高さは10、12、15cmのバリエーションがあり、上がり框の高さの半分程度のものを選ぶ。もし下がガタつきそうなら、100円ショップで滑り止めシートでも買って、切って敷くのが良さげである。
表情が素っ気なくて気になるなら、なにか敷物を工夫してほしい。滑りにくいとは思うけど、自己責任で。
角がギザギザで気になる場合は、専門家ならダイヤモンドカッターで軽く面取り、でなければ硬いもので角を少し当たる。


え?なぜこれが切り札?
と思われる方もいるかも知れない。


お安いのだ。とにかく。


1個買っても最大300円程度、2個でも600円でいけるはずである。それも税込である。
ご家族様にこれを買ってきていただくと、こちらも木製踏み台2万円の見積を入れなくてはならない項目を削り、本当に必要な手すりに優先して介護保険の給付枠を配分できるのだ。

何ならこちらが実費で買ってくることもある。どうせ仕事の準備でプロ向けロイヤルやらユニディやらコーナンやらに行くわけだから、ついでに。

ちなみに、お気づきかもしれないが、こちらでこれをお勧めするときは、必ずしも固定をしないので、介護保険に落とし込まず自費でやっていることが多い。それでもお安いからね。

接着剤で固定して住宅改修費の支給を受けた例もあるが、特殊解である。いざという時、きれいに剥がせないからであるのは言うまでもない。

もし玄関の段差に悩んでいるご家族をお持ちの方、ちょっと力仕事が必要にはなりますが、上記の仕様でぜひお試しいただけると、ご家族の転倒リスクをお安く減らせます、ということで書いてみた次第である。



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