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オールドタイプの復権 ~古いお風呂でもなんとかする


元祖ニュータイプの方が派手にやらかした今週ですが、そんな理由で本日はオールドタイプの話を推したいような気分になりましたのでこれを。

けっこう古いタイプのお風呂の改修と活躍の話です。

「ほう、思い切りのいい浴室だな。手強い…しかし!」

いわゆる置き型の浴槽は最近では珍しくはなりましたが、縁の高さは洗い場から60cm程度、コレはちょっと厳しい。そしてここは熱源がすごかった。

「やる!あの薪ボイラーのリターンパイプめ!」

流石に薪ボイラーは初見でした。隣が工房で、廃材を利用して熱源にしていたみたいです(今は県条例でダメってことになってます)。
で、これを最初は活かしてほしいとの要望だったのでどうしようかな、と思っていたのですが、最終的にガス給湯器に変更することになり、晴れて改修が動き出しました。これはさすがにオールド過ぎます・・・。

で、改めてよくよく下見をしてみると。

「こ…これは! し…しかし、体重に耐えられるかな?」

なんかお知り合いの大工さんに頼んでつくっていただいた階段のようなのですが、いろいろと、結構怪しい。そもそもご利用者さん、パーキンソンで歩行不安定なのに、この台を使ってまたぐのはかなり厳しいのです。跨いだ先は60cm下の浴槽底面まで何もないし。
また、洗い場床にはレンガを敷いた上にスポンジマット敷き詰めていました。汚れで滑るようになるよね、これ。というわけで、ここは福祉用具の出番になりそう。

また、介護保険を使ってなるだけ安価に済ませたいとのことでもあったので、下記の作戦を立案し、実行に移すことに。

1,ガス釜設置(自費)
2,浴槽交換(住宅改修)・・・長さ、深さ変更
3,手すり設置(住宅改修)・・・浴槽周囲に
4,浴槽横ベンチ設置(自費)
5,洗い場すのこ設置(特定福祉用具の購入)
6,バスグリップ設置(特定福祉用具の購入)

 

1,は飛ばして、2,です。まずは丁寧にお掃除から。

「たとえ素手でも任務はやり遂げてみせると、お客様にはお伝え下さい」

古い浴槽を撤去して、そして同じステンレス製の置き型浴槽を再設置。

「プラとは違うのだよ、プラとは!」

長さが800→1000に、高さが600→500になってます。もともとの浴槽があった部分が壁面のグレーのところ。
そこに各種福祉用具や、ベンチを配置していくのです。

「この工夫、この組み合わせこそ住環境整備よ!」

3~6をすべて配置したところがこれ。浴槽横には水に強い桧の板でベンチを作成し、風呂の縁高さとピッタリと合わせる。
そしてすのこを出入り口の高さよりちょっと低めに設置します。こちらは福祉用具屋さんに頼んで、こちらで寸法調整して発注してあったものを後日入れました。それらの合わせ技でベンチと風呂の縁の、すのこ天端からの高さを420mm、つまり椅子の高さに調整。

「せ…正確な高さ設定だ。コンピューターでもこうはいくまい」

これで既存のシャワーチェアから、横にスライドするだけで浴槽に入れます。要はこうなるように浴槽の高さを調整したわけです。出入口の高さを押さえてから、他の高さ関係を見るの、だいじ。

左手側には壁に横手すり、右手側にはバスグリップを設置。浮き上がり防止や浴槽への移動、立ち座りの際の支持物として使われます。

「住環境整備がどういうものか、よく見ておくのだな」

これにて完了、オールドタイプなセリフがダダ漏れでお送り致しました。

でも、古いお風呂のほうが、うまく改修するとローコストで、見てくれは残念でも意外に在宅での入浴がやれるようになったりするんですよ、本当に。

このケース、いろいろやってみたけど、結局自宅でお風呂に入れず床ずれができていた利用者さんでした。晴れてお風呂に入れるようになり、それが改善できただけでも良しとしたいところ。
どなたかのご参考になれば幸いです。

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