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けっしてアレではございません ~福祉用具の隠し技 ③


本日こちらに取り上げたるは、トップ画像の貸与品の手すり。手すりです。

パナソニックさんから出ている製品なのですが、断じてこれは手すりです。
「嘘だ!」と思うあなた、それなら下のウェブサイトを見ていただきたく。

面で支えるので安心、この意味があなたにはわかるだろうか

この商品、

折りたたみ可能な面手すり スタンディ【パナソニック】


といいます。なんと面手すりです。パナさんが発見した、新しい概念だと思います。では実際にどういう使い方を想定しているか、見てみましょう。


両手をついてもいいし、片手でも使えるし、邪魔なら折りたためる面手すりなんですねー


な、なるほど。よく出来ている面手すりだなー。
ここまで言われると手すりにしか見えなくなってきました。
自らの不明を恥じています。なにごとも先入観で見てはいけませんね。


ではこの面手すり活用法、生活場面別ではどんな感じなんでしょうか。見てみましょう。


上がり框では

なるほどー、面手すりはあくまで手をついて支えとして使う想定なんですねー

あえて低い上がり框に座ったとき、立ち上がりがきっと楽になりますよね。


洗面所では

立ったたまま着替えるときに安心ですねー

狭い洗面所ですから、畳めると便利ですよね。
なら、なんでいちいち広げるのかという疑問は封印しておきましょう。


寝室(ベッド)では

ベッドサイドでも便利に使えるようですねー

あ、これはちょっと新しいかもしれない。このかたちである必要性は今ひとつわからないけど、アリだとは思います。


寝室(ふとん)では

布団サイドでも便利に使えるようですねー

あ、ここはスルーするところではなかった。真面目にいきましょう。
ここまで不真面目だったという意味ではありませんよ。


布団からの立ち上がりなどでは、低い座卓や椅子の座面などに、うつ伏せの姿勢の次か、長座位になりその次にいちど身体を預けてもらうと、次の立ち上がり動作などが比較的簡単に出来るようになります。


キネステティクスという技術をかじった人なら、スパイラルに姿勢が変換されることを教わったと思います。その途中で出てくる姿勢ですね。

興味のある方はこちらの動画を参照くださいませ。ちょっとわかりにくいですが、これしか公式に使えるヒントがなかった。
いま、キネステティクスは開発者さんが教育機関を一国一団体限定と決めたことなどから、公式に教えられる人が国内に数えるほどしかいないので。
一般に買えるテキスト類もすべて絶版なので、ご興味のある方はそれらを中古で手に入れるか、一般社団法人キネステティクス・ジャパンまでお問い合わせいただきたく。

 

なのでこれは理にかなっているのです。この面手すりを、そのようなものの平面部の代わりに使うというアイデアですね。

あ、他の使い方が理にかなってないとはヒトコトも言っていませんからね。


あと、この製品の優れているのは、この面手すりと棒手すりのセットになった部分を、下のベースプレートに対して様々な位置に変更できるというところです。

いろいろアジャストできて、これは良い設計


(5/28 10:00追記)

あと、ちゃんとこの面手すり、上げているときはロックがかかります。

オレンジ色の部分がロックレバーです

オレンジ色の部分を上に引くと倒せるようになる仕組み。面手すりが不用意に倒れてきたりしないような配慮はバッチリです。

開発者さんのコメントなどがこちらで読めるので、ご興味のある方はこちらも是非に。



さて、これが手すり、棒手すりと面手すりのハイブリッドであることに、もはやどなたも異論はないと思う。

福祉用具の隠し技コーナーにこの福祉用具を持ってきた理由は、察していただければそういうことなのだが、ここではそれは書くことが出来ない。
あくまでも手すりとしてご紹介することしか、私には出来ないのだ。面手すりを、手以外で使ってはいけない理由もないはずなのだが、メーカーさんにご迷惑をおかけする恐れがあり、それがこれを便利にお使いの利用者さんに影響を与える可能性がある以上、それを書けない歯痒さを感じていただければ幸いであります。


でも、だれが見てもこれは面手すりだから。面手すり便利。






追記

ちょっと若かりし頃に聴いた懐かしい歌が脳裏にちらついたので、せっかくなので動画を置いていくことにしますね。久しぶりに聞きましたよ。

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