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ビジョンスケッチ - ビジネスとアートの関係性(2)

「ビジョンスケッチとは何ぞや」について前回お話しさせていただきましたので、今日は「実例」編です。もし前の投稿を読んでない方がいらっしゃいましたら、ぜひこちら▼も参考ください。

さて。前回最後に、このような問いかけをさせてもらいました。

「あなたが子供時代に熱中したものは何でしたか?」
「もしあなたが、一か月に1000億円を使えるしたら何に使いますか!」
という問いがあるとします。さあ、あなたは何を描きますか?

皆さん、少しだけでもこのテーマ考えていただけましたか?
では、早速参りましょう。

「あなたが、子供時代に熱中したものは、何でしたか?」

このテーマの意図は、自分が本当に関心あることは何であるかを探索するために"子供時代"を描いてもらうというものです。これ実はマサチューセッツ工科大学(MIT)でも必ず実施していると聞きます。
つまりリアルに生きる現実の自分から、過去の自分が何を理想としていたのかを表現しながら新しい発見することが目的となるのです。

事例1)Oさん(日系ヘルスケア企業 研究職)

Oさん

Oさんは「あなたが、子供時代に熱中したものは、何でしたか?」に対して、TV番組「野生の王国」が、自分の起源となったことをワクワクしながら説明してくれました。
プラモデルと並行して飼育して観察する世界に没頭し、動植物のジオラマの関心が高まって辿っていくと、バクテリア研究や栽培への道に繋がって現在の自分が作られていることを話しながら初めて意識したようです。

ビジョンスケッチでは、頭の中にあるモヤモヤしたものを表出することで、次々に描いた世界に繋がっていくことを教えてくれています。言葉になる前に、感覚機能からインプットしたり、手や身体を動かすことで、新しい発想の【結合】を生み出しでいるようです。

事例2)Kさん(マーケティング会社デザイン職)

これ

次にKさんのビジョンスケッチを見てみましょう。弊社から「最初に浮かんだものを真ん中に書く、さらにどんな表情か、場所も周辺情報を描いてください」とお願いすると、真ん中には子どもの時大切にした熊のぬいぐるみと遊んだ自分が思い出されたようであります。

その気持ちが右上のペットとして、犬との生活をする憧れに繋がっている。
さらに右下のクラスメイトとの”おしくらまんじゅう”の時の楽しい自分と
左上の横断歩道を歩く時にも、ゲーム感覚で決められた色(この場合、白色に塗られた場所だけを歩く)を歩いたという楽しい感覚が、呼び覚まされたことを楽しく話してくれました。

ビジョンスケッチは、一つのラフスケッチを描くことで、自分でも思い崖ずに自然に繋がっていたと思われるシーンが眠りから醒めるように、他のラフスケッチに繋がっていくことに特徴があります。まさに、頭の中をありのままにアウトプットされていくケースが多くあることが実感できる、言葉にする前(もしくは箇条書きで表現するよりも)思考の領域が広かっていくことを実体験できると言ってもいいでしょう。

事例3)Kさん(FMCG企業マーケティング職)

Kさんは2つめのテーマ「もしあなたが、一か月に1000億円を使えるしたら何に使いますか」でみてみましょう。

このお題の1000億円を使い切ることは非現実的です。そしてそこに「ビジョンスケッチのテーマである自分に無意識に課している制約条件を取り除く」という条件を知ることができます。

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世田谷区ご出身の自身の昔から、商店街がコロナ禍により閉店が目立ち、社会的問題となっていることを課題として取り上げたようです。

商店街の代わりに「毎日イモ虫のように商店街のようになっているバスが巡回して地域をまわる」。それは何とベビーカーや車椅子、犬の散歩道にもなり得る超大型イモ虫バス。現在進行中のトヨタの富士の裾野のウーブンシティの移動式バスよりも社会的価値は高いのかもしれません。

まとめ

ビジョンスケッチ」によって"直感が直観"となり、視覚から始まったものを他者に説明することよって"右脳→左脳"へ変化し、そして"イメージ脳→言語脳"を何回も行き来することで、思考が無意識の世界へ置換されて新しい「知」を生み出すのではないかと、私は考えています。

もう少しだけ噛み砕いてみると、今回少しだけ事例を使ってご紹介したように被験者が絵を描いていく中、箇条書きの言葉や整理よりも自身の頭の中を広げて拡散していることがが確認できました。描きながら次々に連鎖するように描いている、テーマを楽しんでくれているのを感じていただけたかと思います。

VTS」も「ビジョンスケッチ」も"知-自分の考え方-"を拡散したり、集約したりする、連動をダイナミックに動かす「場」を作る、いや動かすという意味で非常に寄与するといえるのではないでしょうか。私自身もファシリテートする上で参加者が楽しく対話できる場を作れればといつも一番に考えています。

イメージが生み出される働きは、感覚的知覚作用と言われています。もともと感性は、西欧では高度な知的機能の悟性や理性より一段低い位置に置かれていたと言われますが、それを引き上げたのがイマヌエル・カントでした。彼は、構想力のプロセスにおいて、想像力、主観力に加えて、創造・創作、身体知という実践力を取り組んでいます。

「ビジョンスケッチ」や「 VTS」 は、このような理由から個人だけではなく、ビジネスをサポートできるものと感じざるを得ません。皆さんに少しでもこれらの手法の意図が伝わると嬉しく思っています。

では今日はこの辺で。
また次回お会いしましょう。

                                           ***

<ご案内> 弊社開催セミナーです。今回ご案内している「ビジョンスケッチ」も実際に体験いただけます。ぜひ参加検討くださいませ。

(完)