VOL.14寄稿者&作品紹介07 トミヤマユキコさん
昨年の第13号での寄稿者&寄稿作品紹介では〈今年3月には『10代の悩みに効くマンガ、あります! 』(岩波ジュニア新書 965)と『文庫版 大学1年生の歩き方 』(集英社文庫/清田隆之さんとの共著) という2冊の本が出て、GW明けの5月10日には『女子マンガに答えがある ─「らしさ」をはみ出すヒロインたち』(中央公論新社)も発行予定〉と、記していたトミヤマユキコさん…しかし、怒濤のリリースラッシュはCan’t Stop。それでは続き、いきます。2023年12月には『労働系女子マンガ論!』(タバブックス)、年改まって2024年3月には『ネオ日本食』(リトルモア)、そして今月(4月5日)は『高校生と考える 人生の進路相談』(共著/左右社)...あっ、ウィッチンケア第14号(2024年4月1日正式発行)も、です。今号でもありがとうございます! そんなトミヤマさんの最新の寄稿作ですが、目次を見て「み」ってなに? なんて思わないでくださいね。読んでみればどなたも、きっとわかりみ~、となること間違いなし。ちなみにこの「み」、一説では夏目漱石の小説「道草」の冒頭に出てくる「淋し味(さびしみ)」が由来、とも言われているようですが、真偽のほどは不明。
タイトルから推察できるように、今作はトミヤマさんご自身のプチ人体改造エッセイ。私(←発行人)は古いマンガ好きなので、おおっトミヤマさん、フランソワーズ・アルヌール(cyborg 003)化して人類を救おうとでもするのか、と読み始めましたが…これがなかなかたいへんというか、経験しないと絶対にわからないであろう辛みや可笑しみに満ちた、珠玉の一篇でありました。歯列矯正と胃の関係とか、たしかに言われてみれば「なるほど!」なわけなんですけれども。
また“ちょっと毛の話が長くなりましたが”とのことわりで、サブ話題として扱われている医療レーザー脱毛に関する逸話も、歯列矯正に負けず劣らずの体験談。“レーザーはまあ耐えられるっちゃ耐えられるけど痛いよね、という強度でわたしの毛根を殺しにかかっています”...やっぱり、痛いんだ。電車の広告とかには「痛い」なんてどこにも書いてないんですけれども。さて、そんな体験をした筆者は、そもそも何故、見目麗しさ(ルッキズム)にこだわったのか? ぜひ小誌を手に取ってお確かめください! これも、じつにわかりみ~なのであります。
で、実際やってみてどうだったか。きれいになってうっとり、というより、なんかよくわからんメカの前に寝かされて、ちょっとした人体実験をされることに、奇妙な興奮を覚えました。ネイルサロンとか、ヘアサロンとかで、自分の身体をプロに預けた経験はあるにはあるのですが、それとは全く違うと感じました。もっと「実験体み」がある、とでも言いましょうか。施術者との間にあるのは、必要最低限の会話だけで、あとはひたすら俎の上の鯉になり、一方的にやられ放題なのが、なんかいい。なんだろうこの快感は。フェチなんでしょうか。
~ウィッチンケア第14号掲載〈人体実験み〉より引用~
トミヤマユキコさん小誌バックナンバー掲載作品:〈恋愛に興味がないかもしれない話〉(第10号)/〈俺がお前でお前が俺で──マンガ紹介業の野望〉(第11号)/〈わたしはそろそろスピりたい〉/第12号/〈変名で生きてみるのもええじゃないか〉(第13号)
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