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Computer Blue(殿下と僕〜1987)

1981年、殿下のことは「Controversy」で知った。その頃の僕は町の貸しレコード屋のアルバイト店員(東京都町田市の「TIME」)で、気持ち悪いのが流行ってんな〜と思いながらそのレコードを店の壁に飾っていた。1曲目、なんか転調が唐突、と思ったが、音楽はルックスほど「うぎゃ」という感じもなく...。

1982年、そろそろバイトを辞めて社会人になる準備って頃、店に「1999」が入荷した。これは、ジャケットはもはや気持ち悪いを通り越して意味不明。だけど音楽は一発で気に入った。まずA面1〜2の流れにすっかりやられて自分でも新品で買った。「TIME」は毎週1回六本木の「ウィナーズ」に買い付けにいくような店だった。常連さんやバイト仲間とスクエアビルの、たぶん「チャクラマンダラ」(「ネペンタ」だったかも...)にいったらガイジン客が「1999」に合わせて上着脱いで海老反りになってエロく踊っていて、それがすごくカッコよく見えてますます好きになった。

1984年、銀座の山野楽器で「Purple Rain」を買った。その頃の僕はネクタイを締めて全8ページの広告面すら埋まらないOL向けフリーペーパーの営業をしていた。プリンスアンドザレボリューションのレッツゴークレイジー。王子と革命のさあ狂おう。こんなまがまがしい音楽が、でも、職場の普通の女子にも普通に聞かれていた。プランタンの近くにできたカフェバーでは映画の映像が普通に流れてたし。プリンスは町で普通の人気者だった。僕はなぜか「Computer Blue」がツボにはまり、とくに2:15あたりからのブルーになる展開〜へんてこなギターソロ〜クラッシュしたエンディングが気持ち悪くてクセになった。

1985年、GW前に渋谷のタワーレコードで「Around the World in a Day」を買った。テープに録って当時休日出勤させられた「国際スポーツフェア」のブースで勝手にかけていた。開場前の代々木競技場近くの芝生で、でかいスピーカーで鳴った「Raspberry Beret」のハンドクラップときれいな青空は気持ちよかった。

1986年、「PARADE」はどこで買ったか覚えていないけれど、とにかくすぐにテープに録ってアメリカ行きの荷物に入れた。レモン色の新しいサムソナイトのスーツケースには「Around the World in a Day」に付いていた風船だか飛行船だかのシールを貼った。アメリカに着くと、ほんと毎日、いろんなところで「Kiss」が流れていた。ドミトリーの食堂でもMTV。けっきょく殿下のアルバムで一番聞き込んだアルバムになった(テープで)。

1987年、もうそろそろ日本に帰らなきゃって頃に「Sign o' the Times」がラジオで頻繁にかかって、グリニッジ・ヴィレッジ周辺は(僕の目には)それとスザンヌ・ヴェガの「Solitude Standing」とジュリアン・コープの「Saint Julian」のポスターだらけに見えた。ものすごい荷物だったけど3枚(4枚)とも買って帰国した。

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