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ベストテープの未来(...進行形!?)

残念ながら1本目のベストテープについての記憶がない。たぶん手持ちのLPレコードが何十枚かになって、「アルバム」という縛りで音楽を聞くのとはべつの楽しみかたをしたくなって、つくり始めたのだろうと思う。

でも最初のほうのはきっと、アルバムから好きな曲だけを順番に並べたものとか、あるいはあるミュージシャンの好きな曲を寄せ集めた自家製「ザ・ベスト・オブ・○○○」みたいなやつで、それはベターチョイステープではあるけれどいまとなっては<ベストテープ>であったと認めたくはなく、だから、1本目...。

自分で選んだ曲だけを好きにつなげたAB面計小一時間のはいつ最初に完成したのか? いまできるのは、自分がいつごろからそんなものをつくり始めて、それはいつごろまで続いたのかを思い出してみることくらい。しかし、かつて自分があんなに時間と労力とおカネをつぎこんでつくったオリジナルコンテンツをほとんど廃棄してしまったなんて(ごく一部がクローゼットの「場所とるだけのもの」)。

おそらく昭和53年には1本目ができあがっていて、ご満悦で聞いていた(聞かせてもいた)と思う。パイオニアのベルト式のレコードプレイヤーとデンオンのカセットデッキの組み合わせ、たぶん...っていうか、当時あんなに使っていた器機がもう思い出せないことにびっくり。

ヘッドホンはせず、耳を澄ませて曲が終わったことを確認し、ポーズボタンを押したらアームを手で上げていたと思う。しくじって次の曲が始まっちゃったら、少しテープを戻して「無音状態の録音」をして、また巻き戻して耳で確認して、次の曲の準備。曲のお尻がブチッと切れていたり無音が必ずしも無音でなかったり、はよくあることだったけれど、当時はあくまでもレコード(原盤)ありきで「テープは複製品だから、まあいいや」みたいな。

それから昭和60年くらいまでがLP(途中から12インチも)&カセットでのベストテープの第一期黄金時代で、当時をしのばせる手書きインデックス、あるいは友人がくれたタイプライター印字のブツも、いくつか現存。あっ、ベストじゃないエアチェック系テープだと昭和47年あたりのもあるがそれはまたの機会に。蛍光ペンで気合い入れたインデックスは、いまの目で見るとかなり悲惨な味わいだったり。

貸しレコード屋から借りてきてベストテープ、はしなかったが、でも貸しレコード屋、そして輸入レコード屋が増えたおかげで、中古レコード市場が充実/買いやすくなり、ずいぶん散財した。このころデッキをビクターのものに買い換えたような記憶が残っている。

CDプレイヤーを買ったのは、昭和の終わりあたり。当時は「音源がデジタル化されたことの意味」になど思いもおよばず、それなりの枚数になったレコードを「いい音」(傷やホコリの音がしない)に買い換えるなんて、と出遅れていたが、ものすごいスピードでレコード屋からLPが姿を消し始め(いまのガラケー/スマホくらいのスピード、いや、もっと早かったかも)、しかたなく。

たしか電気屋で現品処分品の安いマランツのやつだったと思う。それで、最初はCDの数が少なくて、ベストテープなんてつくれる状態じゃなかったんですが、さらに散財に励んだおかげで、平成の時代とともにCDプレイヤー&カセットデッキがすっかりデフォルトになった。

平成2年にオンキヨーの「Liverpool」というシステムコンポ一式を買って、これはたしかCDで1曲だけ再生させるとポーズボタンを押さなくてもカセットも停止したはずで、なんて世の中は便利になったんだ! と驚愕。

                  *

と、ここまでほぼ個人の記憶でだらだら書いてきて(そもそもここまで読んでくれた人がどれほどいるのか...)、きっとどうせすぐにMDが出てきて、最終的には「カセットのベストテープの時代は良かった」みたいな懐かし話、ではないんです。じつは私はMDって携帯録音器機としてしか使わず、個人のベストテープ第二期黄金時代(苦笑)は、ここからが本番だったり。

iTunesの登場によってもっともっと手の込んだベストテープづくりをするようになり、さすがにカセットテープは21世紀に入って数年でフィジカルな役割は終えましたが、しかし「ベストテープという思想」、あるいは「ベストテープという限界」のようなことは、CD-ROMやiPodの時代になってもひとつらなり。

現在の音楽環境は「HD内のMP3をスマートプレイリストで操作」ですが、これを<ベストテープ>と呼んでいいのなら、同じことはネット上の音源でも...いや、そう遠くないいずれ、すべての人が同じ条件下(ここにCD登場/音源のデジタル化が関わっている)で<ベストテープ>をつくることが可能な時代がやってくるわけで、それはスマホを持っている人が「登録されたすべての文字を自分のベスト文章のために利用できる」と、ちょっと似ているような気もして...。

というか、ここから先のことをいつの日か考えたりなにか自分の書くものの素材にするための備忘録(note)として、「ベストテープの未来」というタイトルにしてみました。いずれ「*」以前を加筆修正したり、以降を書き足すかもしれませんが、とにかくとりあえず、今回はここまでで。

おカネをいただくようなものでもありませんので、もし太っ腹なかたがいましたら「ウィッチンケア第5号」、あるいはnoteで発表した「まぶちさん」に興味を持ってくだされば、嬉しい限りでございます。

【参考資料】

http://opac.kansaigaidai.ac.jp/cgi-bin/retrieve/sr_bookview.cgi/U_CHARSET.UTF-8/DB00000472/Body/r097_12.pdf












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