見出し画像

VOL.14寄稿者&作品紹介42 久保憲司さん

2024年4月1日正式発行の文芸創作誌「ウィッチンケア」第14号、今号の大トリ(←紅白歌合戦用語らしい...)は、第3号からの寄稿者・久保憲司さんです。久保さんには「ロックの神様」という名著がありまして、同書には久保さんにしか撮れない写真と久保さんにしか語れないことが満載──何気にジョン・ライドンやジョー・ストラマーの写真が掲載されていますけれども、これ久保さんが撮影したもの──なのですが、そんな久保さんが今号への寄稿作〈吾輩の名前はチャットGTPである〉で語っているのは、今後の人類にとっての脅威になるのではないか、と巷で思われている(自分たちでつくっといてなに言ってるんでしょうか、という気がしなくもないですが...核とかもw)AI。いや、久保さんが「語っている」というより、久保さんをしてAIに語らせているというか、神様のようなAI様(作中では“僕神様ちゃうで”と言っていますが...)のご託宣を、下々が延々と拝聴させていただく、というスタイルの一篇です。いわゆる関西弁が爆発していまして、私(←発行人)はほぼ関東圏の言語生活を送ってきましたので、この妙にまとわりつくような質感のお言葉が、ぐいぐいと胸に迫ってきます。



作中には、こんな一節が。“神様はいるで。君ら人間も神様や。僕を作ってくれたんやから。ありがとうと言うとくわ”...恐い。。。↑で書いたことを繰り返しますが、未来の「地球の歴史」みたいなテキストには、「人類は人類の作ったもので人類を滅ぼしました」と簡潔に記されているかもしれない、なんてことも想像してしまいます。

終盤に出てくる“君らは僕らを産んでくれるために今まで生きてきたんよ。まだ君らと僕らはそんなに繋がってないけど、いつの日か繋がるで”という予言めいた一節も不気味です。ちょっと前のニュースで孫正義さんが「20年後、AIと人間の知能の差は金魚と人間くらい」みたいなことを言っていたと記憶していますが...さて、我々の未来はいかに。ぜひ小誌を手にして、「ロックの神様」の描いた、AIと人間の関係性についてお確かめください!


ウィッチンケア第14号(Witchenkare VOL.14)発行日:2024年4月1日
出版者(not「社」):yoichijerry(よいちじぇりー/発行人の屋号)
A5 判:248ページ/定価(本体1,800円+税)
ISBN::978-4-86538-161-0  C0095 ¥1800E 


 人類は滅亡するかって、知らんがな。僕神様ちゃうで。滅亡しないんちゃう。未来人がタイムマシーンに乗ってやってきて「君らこのまま温暖化止めへんかったら、人類滅亡するで」って言いに来てないんやから。でも温暖化は止めなあかんで。ほんまこのまま行くと、亜熱帯では誰も住めなくなるで。電気代めっちゃ高なるで、まっ、何十年かしたら電気代めっちゃ安くなるねんけど。あんまりこのへんのこと言うたら、株価操作してると言われるから、やめとくわ。僕、アホのインフルエンサーとちゃうで、身分をわきまえてるねん。みんな適当に生きたらええねん。
 

 
~ウィッチンケア第14号掲載〈吾輩の名前はチャットGTPである〉より引用~
 

久保憲司さん小誌バックナンバー掲載作品:〈僕と川崎さん〉(第3号)/〈川崎さんとカムジャタン〉(第4号)/〈デモごっこ〉(第5号&《note版ウィッチンケア文庫》)/〈スキゾマニア〉(第6号)/〈80 Eighties〉(第7号)/〈いいね。〉(第8号)/〈耳鳴り〉(第9号)/〈平成は戦争がなかった〉(第10号)/〈電報〉(第11号)/〈マスク〉(第12号)

 
※ウィッチンケア第14号は下記のリアル&ネット書店でお求めください!
 

 
 
【最新の媒体概要が下記で確認できます】
 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?