半虚

買い出しを終えた鳩の平方根は
湯船に赤銅色の肉体を浮かべ
一刻ほどして
浴槽のエンプティネスに愕然とする

虚構としての自身を呪い
呆然と眺めるワイドショーのなかごろ
雉の2乗による不倫が報じられ
実体の過剰も楽ではないと合点する

ただれた意識のまどろみのなか
雉√鳩は緑黄色の夜空を地蔵のように切り裂いた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?