今季のウォーリアーズイケてね?という話

NBAについて書こう。好きなものについてはあまり書きたくないのだが、そうも言っていられない。NBAリーグパスを解約することになったからだ。

ぼくはかれこれ17年、リーグパスを通じてNBAを観戦してきた。結婚してから、ことあるごとにリーグパスの費用について妻からチクリとやられてきたが、とうとうウンザリしたのである。強要はされていないが、そんなに言うならもういいわと、黙って解約してやったのだ。

1年で2万円。まぁ、国内スポーツに比べれば法外な値段ではある。しかし、世界最高峰のエンターテインメントを1年2万円で見放題なのである。安いものではないか。ぼくはバスケが好きなのだ。しかしそれもなくなった。何を楽しみに生きればいいだろう?

ともあれ、解約手続きは済んだが、どうやらまだ2週間ほど昨季の契約期間が残っているらしい。現在NBAはプレシーズンがはじまっているが、これはどうやら見届けられるらしい。野球で言うオープン戦である。最後がオープン戦。しびれるではないか。

さて、ぼくは1つの希望を捨てないでいる。NBAについて書いていれば、どこかから仕事の依頼が来るかもしれない。そうなれば、経費でリーグパスを契約できるのではないか? あと2週間のうちに依頼が来れば……

もちろんただの思いつきであり、希望的観測にもなっていない。ともあれ書くのは悪くない。毎日何かを更新すると言った手前、ネタ不足にならないとも限らない。とくに何も考えず、NBAについて書くのもアリだろう。

というわけで、開幕前に注目しているチームについて気が向くまま書いていきたい。今日はウォーリアーズである。

ウォーリアーズファンは2年の間、今シーズンを待ちわびてきた。そう、スプラッシュ・ブラザーズの弟分、クレイ・トンプソンである。2年のリハビリを終え、今シーズン復帰する予定なのだ。

3連覇のかかった2019年のファイナルは、ウォーリアーズにとって悪夢の連続であった。リーグ最高のスコアラーであるKDを欠き、1勝3敗の崖っぷちに追い込まれる。が、第5戦でKDが復帰し、第1クオーターから無双する。あの時の「もしかしたら」感は半端じゃなかった。しかし、第2クオーター開始直後、希望は瞬時に暗転する。KDが倒れたのである。軽く躓いただけのように見えた。が、周囲の選手の反応がおかしい。チームメイトの手を借り立ち上がったKDは、片足をはっきり引きずっていた。見覚えのある空気と、絶望感だった。コービーがアキレス腱を切った時と、まったく同じだった。リーグ最高の選手の一人が、キャリア終了クラスの怪我を負う瞬間は、何度経験しても嫌なものだ。突然、それまで見せてもらっていた光景が幻だったと宣告されるのである。試合後、ウォーリアーズGMのボブ・マイヤーズが涙を流しながら会見に応じていたことを覚えているファンも多いだろう。幸い、KDは昨シーズンにアキレス腱断裂から劇的なカムバックを果たし、プレーオフでもオリンピックでもその化け物ぶりを見せつけたのだけれども。

回り道が長くなってしまった。KDが好きなのである。そう、クレイだ。第5戦、どうにか接戦をものにしたウォーリアーズだったが、先行きはこれまで以上に暗く思われた。KDがもはや戻ってこないことが確定的だったからである。しかし第6戦、好調なクレイに引っ張られ、ウォーリアーズはどうにかラプターズに食らいつく。ホームの歓声にも後押しされ、ゲームは終盤にさしかかっていく。相手のターンオーバーからの速攻で、先頭を走るクレイにボールが渡る。迷いなくダンクに持ち込むクレイを、ダニー・グリーンがファウルで止める。空中で姿勢を崩したクレイは、着地に失敗し、そのまま脚を押えて倒れ込む。観客たちは頭を抱え、天を仰いだ。着地の瞬間、膝が曲がってはいけない方向に曲がっていた。全十字靱帯断裂である。

それから2年間、ウォーリアーズはもどかしい時間を過ごすことになる。KDは移籍し、クレイは丸々2シーズンを欠場した。エースのカリーは全盛期にある。ディフェンスとゲームメイクの要・グリーンは30を過ぎ、怪我がちになっている。クレイさえいれば、まだコンテンダーに返り咲く力はあるが、残された時間はそう多くない。

そのようにして迎えるのが今シーズンである。昨季獲得したウィギンスは、高校時代から「ネクスト・レブロン」ともてはやされた逸材だが、ドラフト1位で加入したウルブスを飛躍させることはできず、単なる弱小チームのスコアラーに留まっていた。が、ウォーリアーズ加入後はチームの中での立ち位置を確立させつつある。昨季の後半から飛躍的なステップアップを見せているプールも、プレシーズンで早速30点をあげ、インスタントスコアラーとしてのブレイクを予感させる。

新加入のポーターも、ここ2、3年は怪我に悩まされ続けてきたが、もともと能力は確かなプレイヤーである。キャッチ&シュートの精度の高さや、スクリーンプレイのうまさは、ウォーリアーズのスペーシングを活かしたダイナミックなボールムーブのなかで最大限発揮されるだろう。ルーキーのクミンガやムーディーも、ポテンシャルの高さを感じさせる。2年目のワイズマンはまだまだ時間がかかりそうだが、順調に育てば間違いなくオールスター級の逸材である。まずはチームで求められる、リムプロテクションやピック&ロールの受け手としての役割をきっちりこなせるようになりたい。

プレシーズン2試合を見る限り、ウォーリアーズの躍動感あるオフェンスはかつての姿を取り戻しつつあるように見える。クレイの復帰は年内に間に合うかどうか、という感じのようだが、復帰までいい位置をキープしておくのも難しくなさそうだ。クレイがどれだけの状態で戻ってこれるのかにもよるけれども、見てて楽しいウォーリアーズが返ってくるのは確かなように思われる。

……好きなことは思いつくまま書いてしまうので、これはプロの仕事にはならなそうである。外に立つ視点が欠けているわけである。リーグパス契約は遠い。

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