見出し画像

2022年 講演・講義

医療からみた12ステッププログラム

・テーマ:
 医療からみた12ステッププログラム
~霊性を重視する意義などについて~

・イベント名:
ジャパンマック連続講座 「依存症からの回復について考える」 第16回

・主催:ジャパンマック

・方法:オンライン
 
・実施日:2022年4月22日

・参加者:アルコール依存症の当事者、家族、支援者、関係者など。

・コメント:
 当センターにとってジャパンマック(みのわマック、RDデイケアセンター、オ'ハナなど)は長年連携してきた欠かすことができないパートナーです。当センターを退院した後、ジャパンマックのプログラムを利用する人もおり、ジャパンマックの施設を利用中に飲酒が続いてしまったり、脱落した人が当センターに入院したりする人もいて、定期的にカンファレンスも行ってきました。

 当事者の中には、アルコールによる薬理作用が必要不可欠であるような無理な生き方が染みついてしまっている方も多いです。
 そういう人が突然断酒をすると、QOL(Quality of life 人生の質、生活の質)は急降下します。
 断酒を続けると、身体的なダメージは自動的に回復していきますが、QOLはそうはいきません。「無理な生き方はしないで」と言われても、長年、そういう生き方をしてきた人にとっては、難しいです。
 「日々、どのように考え、感じ、行動すれば良いのか?」をモデルになる人と生活を共にしながら学んでこそ可能となることです。
 ジャパンマックのスタッフは、ほとんどが回復者で、どこをどう変えれば良いかについて具体的に知っており、変えることに成功したモデルとなる人達です。支援を24時間365日休まず続けているスタッフの方々には本当に頭が下がります。

 ジャパンマックはAA(Alcoholics Anonymous 米国で生まれたアルコール依存症者の自助グループ)から生まれた施設なので、プログラムの原理は12ステップです。
 私見では、12ステップは、依存症に特化した認知行動療法として優れた特徴を持っていると考えていましたが、意見をまとまった形にしたことはなかったので、準備には結構時間がかかりましたが、色々な発見があり興味深かったです。
 例えば、12ステップは1930年代にできたもので、その後、精神科医や臨床心理士といった専門家がドンドン改良を重ねたわけではなく、骨組みは一切変わっていません。なのに、依存症臨床では未だバリバリ現役であり、エビデンスとしても、新しく開発された認知行動療法と比べても遜色がないのです。
 
 当日は、100名を超える参加者があり、「実態に沿ったとても具体的な内容で良かった」といった感想をいただきました。
 企画して下さったジャパンマックのスタッフの方々と多忙な中、耳を傾けて下さった方々に厚く御礼を申し上げます。