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夜中にりんごを焼く

こんばんは、マチノです。

先日夜な夜なりんごを焼いていました。そのときの話。

今日の話のタイトルは『夜中にジャムを煮る』から。
平松洋子さんの食にまつわるエッセイです。
食とひとことで言っても、食材、器、道具、お出汁まで。
いろんな切り口の食にまつわる話があって楽しいエッセイです。

その中でも好きなのが果物の描写。
台所に静かに佇む果物。
その息づかいが聞こえてきそうな臨場感。
平松さんが書くその艶っぽくもみえる果物にたまらない気持ちになりました。

そんなエッセイのことを思い出しながら、夜中にりんごを焼きました。
眠れなくて、時間がぽっかりできてしまったからです。

台所の小さな灯りに照らされて、りんごがぽつりと佇む姿はなんとも言えないかわいらしさといじらしさがありました。
ふきんで表面を磨くとつやっと光り始めます。
子どもの頃、祖母が仏壇にりんごを供える前にいつもふきんで大事そうに拭いて磨いていたことを思い出しました。

りんごをくし切りにして、砂糖をまぶして。
静かに火にかける。
しばらくすると、砂糖が溶け出し甘いにおいがしはじめて、くつくつとりんごが焼けてくる音がします。

焼き上がったりんごにシナモンをひと振り。
あとは夜中に甘いものを口にする背徳感がスパイスです。

台所にひとり立ったまま。
フォークですくってりんごを食べる。
台所に漂うりんごと砂糖の甘いにおいが夜の隙間を埋めていく。

不思議と心が満たされていく気がしました。

たまにはそんな夜もいいかなと思った次第です。


それではまた。

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