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想像ラジオ(いとうせいこう)【読書メモ】

どこからともなくゴキゲンなラジオ番組がオンエアされるのだが、当のDJ本人も状況がよく飲み込めていない。そして番組を聴くことができるのは…。

ラジオって聴覚だけで受け取るので自分に向けられて発信されているような没入感があるし、リスナーたちがひとつのお題に群がってみんなで番組を作り上げるみたいなクローズドなSNS的要素もある。番組なら当然最終回もあるわけでいつまでもダラダラ続くことはない。

そういう特性あるメディアを軸に、死者と生者あるいは当事者とそうでない者との関係を掘り下げていくという独自の着想。寄り添うような文体から滲み出る著者の死生観は、いとしさと切なさと心強さを感じる。いや本当に。

想像ラジオ。想像以上に魅了させられる。もう一回読みたい勢い。

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