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チャンスを掴め

声劇企画
「チャンスを掴め」

《設定》
会社の部長・主任


東堂部長 木下くん、あの企画は順調か?
     この案件は下村課長からの推薦を受け、
     プロジェクトリーダーに抜擢されたことを
     大いに期待しているからな。
木下主任 はい、現状B社の企画を上回ることは十分可能です。
東堂部長 いまから、部屋に戻るので、資料をもってきて説明してくれ。
木下主任 はい、承知いたしました。
東堂部長 下村課長、木下くんをお借りするよ。

(部長室にて)
木下主任 失礼いたします。
東堂部長 うん、良く来た。まぁ座りたまえ。
     では、検討した具体策を説明してもらおうか
木下主任 はい、現状我が社の出せる見積もりは、
     最大限のコストカットにも関わらず、
     前回の発注の際よりも高品質は維持できます。
     詳細は、こちらの資料をご覧ください。
東堂部長 このコストについては、前回とほぼ変わらないが
木下主任 ここを削ると品質の低下が危ぶまれます。
     質の低下は、今後の継続取り引きを考えると、
     むしろ逆効果となるものと考えております。
東堂部長 なるほど。それは確かに一理あるな。
     なにしろC社との付き合いは長い。
     規模は小さいが、我が社としても継続取り引きが途絶えるのは
     絶対に避けなければならないからな。
木下主任 おっしゃる通りです。
東堂部長 わかった、ただし、十分B社の動向には留意して進めてくれ。
木下主任 かしこまりました。

(執務フロア)
東堂部長 おい、木下!
     これはどう言うことだ!    
     コンペは完璧と言っていたではないか。
木下主任 はい・・・
     できる限り、
     我が社の優位性を説いた上でのことでしたので・・・
東堂部長 ではなぜ我が社の案が通らなかったのだ!
木下主任 前回とは直前になって担当者が変更があり、
     全体的な質よりも
     コストにのみフォーカスされたことが要因でして・・・
東堂部長 どの程度の差があったんだ。
木下主任 それが、我が社の価格をほんの僅か下回っただけでした。
東堂部長 では、質の部分はどうなのだ!
     絶対の自信を持っているかのような説明だったではないか。
木下主任 はい・・・その点については、
     かなり詳細に説明をしたのですが・・・
     とにかくコスト・コストの一点張りで。
     金額を上回る我が社の提案は
     ほとんど聞き入れていただけませんでした。
     申し訳ございません。
東堂部長 君には期待してたんだがな、残念だよ。
木下主任 申し訳・・・ございません・・・

(数ヶ月後)
木下主任 東堂部長!C社より、連絡がありまして、
     再度コンペを行いたいのだが、
     我が社に参加してくれないかと打診がありました。
東堂部長 我が社に?先方の要望は?
木下主任 どうやら前回の案件を進めていった結果、
     コストカットの影響か、先方の要件定義を
     見直せざるををえなくなったとのことでした。
東堂部長 どの部分に問題が生じたのかわかるのか。
木下主任 はい、担当者が前任者に戻り、大まかな点を聴取しております。
東堂部長 名誉挽回のチャンスだな。
木下主任 はい、当初の案を更に見直しし、
     よりブラッシュアップした提案ができるチャンスです。
東堂部長 わかった。ただ、次はないと肝に銘じておけ。
     おっと脅しすぎか。君の活躍は期待しているぞ。
木下主任 はい、承知いたしました!

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