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大丈夫、ちゃんと続いてる | 10年前のきみへ

その頃のわたしは、
もうすぐ人生が終わるのだと思っていた。

何かを成し遂げなければ。
産まれてきた証を残さなければ。

それだけに突き動かされていたように思う。


わたしが生まれてきて、
今ここにいる意味はあるのだろうか?

何度自分に問いかけただろう。

誰もそれに答えてはくれない。
わたし自身もわからなかった。


今日も目が覚めてしまった。
重い身体を引きずり、ソファから起き上がる。

旦那が出て行った家の
ベッドでは眠れなくなっていた。

愛犬にくっついて
リビングのソファで丸まって眠る。
眠れるのは多くて3時間。

終電になるまで仕事をし、
愛犬を預けている保育園に迎えに走る。


ヘロヘロになりながら帰宅して
自分のために時間がかかる料理を作るのだ。

淡々と野菜を刻み
お鍋でコトコト煮込む。
出来上がるまでの時間を
キッチンの床で、体操座りで待つ。


静かな夜だ。


美味しそうな匂いが
口の中に広がる味わいが
生きている感覚を思い出させてくれる。
その感覚を味わうために。


そんな毎日を誰にも言えずに繰り返していた。

職場では、世間には
幸せそうなわたし
タフなわたししか見せない。

そう決めていたのだ。



人生が終わると思っていた日が来ても
わたしの人生は終わらなかった。

正確には、
わたしが終わらせなかった。


今も日々が続いている。

当時より、
今のわたしはずっと健やかで
純粋に生きている。

今日もごはんが美味しいし、
誰かとおしゃべりができて、
幸せだ。


当時2歳だった愛犬も
この夏には13歳になる。

#表現者ルーティン

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