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【音源解説付き】作品においての『整音』の重要性について

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こんにちは、ようげんです。

今回は、最近とても問い合わせが多かった
「整音」
について解説していきます。

世間的にはあまり目立たないようですが、
作品作りにおいてとても大事な工程なので
一緒に理解を深めていければと思います。


「整音」と呼ばれる工程で何をやっているのか?
というのを順番に解説していきます。


※今回はちょうど引っ越し中のタイミングということもあり、
 あえてスタジオではなく一般的な洋間の部屋で収録しています。

 最近は宅録する機会が増えてきた人も多いので、
 サンプルとしては適していると思います。
 (整音の難易度はスタジオ収録より宅録の方が上がります)



・滑舌の明瞭化

整音の工程においてはこれが一番重要(と個人的には思ってる)です。

商業の音声作品・映像作品において、
収録された生の音源がそのままの形で使われるということは、まずありません。

これをやってないと、
せっかく良いことを言ってるのに話し手の意図が伝わらない、
あるいは視聴環境によっては何を言っているのか分からない、
という状況が起きてしまいます。
(失礼ながらこの状態のアマチュア作品はよく見かけます)

・処理前


・処理後

作品数が多くなった昨今では、初見でいかに聞き手に伝えられるかがキモなので
整音の重要性はより増したと思います。


上記の音源も、ぜひいろんな環境で聴き比べてみてください。


音量の安定化

一つの作品の中で音量が極端に違うと、視聴者としてはストレスを感じてしまいます。
基本的に音量感は統一されるのが好ましいですが、
ワザと大きくしたり小さくしたりすることで
視聴者を驚かせたり注意を引きつけることもできます。


・ノイズ除去

これに関してはiZotope社をはじめ優秀なプラグイン・ソフトウェアが出てるので
そちらを参考にしてもらっても良いです。

ざっくりノイズの種類を挙げると、
リップノイズ、歯擦音、ポップノイズ(マイクの吹かれ)、環境(フロア)ノイズ、ハムノイズ、ハウリング…などがあります。

ダイアログ(ボイス)の編集で問題になるノイズとして代表的な
「リップノイズ」の処理について、音源付きで解説します。
 

・まず、未処理の音源から聞いてみてください

特に後半の方は盛大にペチャクチャとノイズが乗っているのがお分りいただけると思います(ヘッドホン等の方がわかりやすいです)。
サンプル音源は短いのでまだいいですが、これが長文になってくると
リップノイズが気になって、文章の内容が頭に入ってこなくなります。
せっかくいい声の声優さんに読んでもらったとしても台無しですね。

・リップノイズを消してみる

ノイズ除去のプラグイン+波形の直接編集でこれくらいは消すことが可能です。


・収録環境が異なる素材のマッチング

異なる収録環境、あるいは異なる機材(マイクなど)で収録された音声は
合わせて聞くと違和感が出ることが多々あります。
これを技術を駆使してすり合わせていくことも可能です。

2つ以上の環境で収録された音源を違和感なく繋げる、
もしくは作品の状況に合わせて意図的に空間を作っていくことも可能です。


・間の調整

ここからはMA(映像に音を付ける最終工程)的な話も含みます。

どちらかというとディレクション的な話になりますが、
特にお芝居の場合だと、セリフ同士の間をどれくらい取るか?によって
かなり印象が変わってきます。


・音の加工、空間設計

これは作品のタイプによって必要だったりそうでなかったりしますが、

例えば、学園モノの作品だと
・教室で喋ってるシーン
・体育館で喋ってるシーン
・音楽部の部活で近所のライブハウスを貸し切ってイベントをやるシーン
それぞれ空間で音の響きが違うのはお分かりいただけると思います。
(狭い部屋だと響きが短く、体育館のような広く閉じた場所は響きが長い)

その絵に合わせた音の空間デザインを適切に行うと、
視聴者の臨場感がより高まる演出が可能となります。

また、心情風景の演出などにも音の加工が有効なことがあります。
(例:回想シーン、声には出さないけど頭の中で思い浮かべるシーンなど)


・音楽(BGM)

これは名前の通りですが、これだけでも何記事か書けそうなのでまたの機会にでも。

・効果音(SE)

音楽と声以外のサウンド・エフェクトのこと。
分かりやすいところでいうと、
クイズ番組などで正解すると「ピンポーン」というような音の総称です。
ちなみに効果音や動作音を作ることをSFXやフォーリーと呼び、専門の職業になっています。


・おわりに

整音とは「音のトリートメント」とも言われますが、
作り手の意図を正確に作品に反映するには必要不可欠な工程です。
上に挙げたようなポイントを意識すると、より良い作品作りにつながると思います。


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余談ですが、一緒に仕事をしている人or仕事を依頼してくれた方には
実際のところ何をどうしているのか?ということも教えています。

全て記事にしようとすると相当な量になるのと、やはり
リアルタイムで整音・MAの工程を見せた方が体感的だし面白いです。

ご相談などありましたらTwitterまでお気軽にご連絡ください。

ようげん


※各項目のサンプル音源は後日に追加予定です。
気になる方はnoteかツイッターをフォローしていってください。





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